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労働争議の調整
(1) 労働争議の調整とは
労働争議、すなわち労働組合と使用者の間で起きた紛争は、当事者同士の話し合いで自主的に解決することが原則です。
しかし、相手が話し合いに応じない場合や、どうしても話し合いがまとまらない場合などに、労働委員会が公正・中立な立場で間に入り、紛争解決のお手伝いをすることを「労働争議の調整」といいます。
※ 福岡県労働委員会による調整の対象は、「労働組合」と使用者の間の紛争です。
「労働者個人」と使用者の間の紛争については、お近くの労働者支援事務所(福岡、北九州、筑後、筑豊)へご相談ください。
(2) 調整の方法
調整には、「あっせん」、「調停」、「仲裁」の三つの方法があります。当事者は開始要件に該当すれば、いずれの方法でも選ぶことができますが、ほとんどの場合、最も手続が簡易な「あっせん」が利用されています。
(ア) あっせん
「あっせん」とは、あっせん員が、労使の間をとりもって、双方の主張の要点を確かめた上で助言等を行い、対立をときほぐして、紛争が解決するよう努める方法です。
あっせんは、労使の一方又は双方から申請することができます。
あっせん員は、労働委員会の会長が「あっせん員候補者名簿」の中から、原則として公益・労働者・使用者の各側1名を指名します。
あっせん員は、基本的に解決案として「あっせん案」を示しますが、「あっせん案」を受諾するか否かは当事者の自由です。
(イ) 調停
「調停」とは、労働委員会に設けられる調停委員会が、関係当事者から意見を聴取して調停案を作成し、その受諾を労使双方に勧告することによって、紛争が解決するよう努める方法です。
進め方はあっせんとほぼ同じですが、労使双方からの申請が必要であることや、一方からの申請の場合には労働協約に定めが必要なことなど、あっせんに比べ開始要件に一定の制約が設けられています。
調停委員会が調停案を示すことになっていますが、調停案を受諾するか否かは、当事者の自由です。
(ウ) 仲裁
「仲裁」とは、労使双方が、紛争の解決を労働委員会に設けられる仲裁委員会に委ね、その仲裁裁定に従って紛争を解決する方法です。
申請手続や進め方は調停に準じますが、仲裁裁定書は労働協約と同一の効力を有し、当事者は必ず従わなければなりません。
※注1 いずれの手続も、どれか1つの開始要件があれば開始します。 ※注2 公益事業については、「公益事業における争議行為の予告」のページをご覧ください。