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カスミサンショウウオ調査保全活動
カスミサンショウウオとは?
カスミサンショウウオは、主に西日本地域に分布する小型のサンショウウオです。
主に丘陵地の森林で生活し、産卵期以外は水に入ることはなく、堆積した石のすき間などに潜んでいることが多く、産卵期直前には水辺の石の下でよく見つかります。
1~3月が産卵期で、山際の水田の溝や小さな水たまり、湿地に集まります。雌は産卵直前の状態で水に入り、水中の枯れ枝や石に卵嚢の端を付着させると、そこに雄が群がって受精が行われます。
卵は径3mm程度、90~160個の卵を含むラセン状の1対の卵嚢として産み出されます。
幼生は首の左右に3対の外鰓をもち、孵化直後には口の両側、鰓の前方にバランサーと呼ばれる細長い突起が残っていますが、幼生は全長4,5cmにまで成長し、夏の初め頃変態して地上で生活するようになります。
山際や丘陵地に接した郊外の人家や耕地の近くに生息することが多いため、近年、このような場所は宅地開発などによって急速に失われつつあり、絶滅が危惧されています(日本のレッドデータ:絶滅危惧2類、福岡県でも絶滅危惧2類)(種の保存法:特定第2種国内希少野生動植物種)。実際に過去の生息地がすでに消滅している所も多く,今後この傾向がますます加速される可能性が高くなってきています。
(福岡県レッドデータブックより)
※絶滅危惧2類の2はアラビア数字で表記しますが機種依存文字のため2で代用しています。
カスミサンショウウオの調査保全活動
- 毎年、産卵する前の12月に、福岡県保健環境研究所の指導のもと、福岡県立光陵高校うみがめクラブの皆さん、地元環境活動団体のどじょうクラブ、当所、福津市が手光ビオトープ(福津市手光地区)において協力して、山から水を引く溝を掘ったり、産卵するのに適度な水深にしたり、卵を産み付けたり身をかくす板を敷いたり産卵場所に適した環境づくりを行っています。
- 産卵、ふ化の観察結果については、一般参加者やどじょうクラブ会員の前で、光陵高校うみがめクラブの皆さんに発表して頂いています。
カスミサンショウウオの産卵、ふ化状況の観察
- 光陵高校うみがめクラブでは、毎年、12月から3月にかけて、手光ビオトープのため池を観察して、卵を見つけると、気温、水温、水深、産卵場所、卵嚢の数などを記録しています。1つの卵嚢の長さは10cmから15cmほどで、その中に数十個の卵が入っています。
↑ 産卵に来ていたカスミサンショウウオ
↑ 卵がたくさん入ったゼリー状の袋(卵嚢)
卵嚢は植物の根や茎、石などに付着させます。
↑ 卵嚢のあった場所に目印を立てて観察します
- 数日がたってくると、卵の一つひとつがだんだん成長していきます。
↑卵の一つひとつがサンショウウオの形になっていきます。
- 幼生は、しばらく水の中で生活し、その年の夏から秋にかけて変態し、上陸します。その後は山の中で生活するそうです。そして産卵の時期がやってくると水辺に移動してきます。
↑ 幼生 首のところに外鰓が観察されます。
カスミサンショウウオ調査保全活動会
活動会の様子は、令和6年度手光ビオトープカスミサンショウウオ調査保全活動会をご覧ください。