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福岡県労働委員会委員コラム 第5回
第5回
「労使間トラブルの円満な解決を目指して」
労働者委員 高田 章男
福岡県には、労働委員会という行政委員会があります。福岡県労働委員会は、労働組合と使用者間のトラブルを円満に解決できるよう労働組合法に基づき設置されています。相談料や手数料などは不要で、利用方法もホームページ等で詳しく紹介されており、電話やFAX、メールからも相談できます。
例えば、使用者が正当な理由も無く団体交渉を拒否したり、労働者の団結権を侵害したりする行為など、いわゆる「不当労働行為」があった場合の「審査」や、団体交渉や労使協議が行き詰って進展しない時の「あっせん・調停・仲裁」による「調整」など、労働委員会は、公平・中立な立場で紛争解決のサポートやアドバイスを行い、公正な労使関係を形成するための支援を行っています。
私は、交通運輸関係の労働組合役員をしていますが、福岡県労働委員会には、トラックやタクシー関連職場の労使間トラブルにより、「あっせん」や「不当労働行為の救済」を求めた申請が数多くあります。加えて、2024年4月からは、改正労働基準法における自動車運転業務(トラック・バス・タクシー運転手)への時間外労働の上限規制が適用開始となり、さらには「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」の改正も、同年4月から施行されますので、これまで以上に労使間での交渉や協議が重要となり、機会も増えると考えられます。そのような中で、労使紛争となったり、労使交渉が行き詰まったりしたときは、福岡県労働委員会に一度ご相談ください。
もちろん、労働組合からであれば、交通運輸関係に限らず、全ての産業・業種の労働組合からの相談を受け付けています。
もし、職場に労働組合が無いときは、労働組合を作ることを検討されてはいかがでしょうか。労働組合の結成は、それほど難しくはありません。二人以上の賛同者がいて、所定の手続きを経れば労働組合を結成し、使用者と団体交渉や労使協議を行うことが出来ます。
また、一人でも加入出来る労働組合(合同労組)もありますので、そこに加入して団体交渉を行う方法もあります。
あるいは、職場に組合がなく個人で使用者とトラブルになったときは、県内4カ所の福岡県労働者支援事務所に相談することが出来ます。
いずれにせよ、労使間のトラブルは、一刻も早く解決すべき問題であり、円満な解決により労使ともに気持ちよく仕事ができるよう、福岡県労働委員会委員として、お手伝いができれば幸いです。 |