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福岡県労働委員会委員コラム 第13回
第13回
「労働委員会ってどんなところ?」
公益委員 服部 博之
皆様、こんにちは!福岡県労働委員会の公益委員の服部博之です。福岡県弁護士会の推薦を受けて、委員に就任して、もうすぐ丸5年になります。 労働委員会?公益委員?と言っても、あまりピンと来られないですよね? 労働委員会は、労働組合・労働者と使用者との間の様々なトラブルについて、話し合いによる解決の手助けをしたり(調整事件)、使用者の行為が労働組合法が禁止する行為(不当労働行為)にあたるかを審査して、そのような行為があれば労働組合・労働者を救済するための命令をしたり(審査事件)、そういったことを任務とする行政機関です。 例えば、労働組合に加入して活動をすることによって、勤務先から嫌がらせを受けたり(不利益取扱い)、労働組合を通じて会社と団体交渉をしようとしたのに、会社がこれを理由なく無視したり(団交拒否)、このような労働組合法が禁じている行為が行われた場合には、申立てを受けた労働委員会が審査をして、これを是正するということになります。 福岡県労働委員会は、公益委員、労働者委員、使用者委員、各7名ずつで構成されています。なお、現在、公益委員は、労働法などを専門とする学者の先生と、私も含めての弁護士とで構成されています。労働者委員、使用者委員は、いずれも労働問題について経験・知識豊富な方々です。これら委員が、協力し、また、意見交換をしつつ、トラブルを解決していきます。 労働者にとって、良好な職場環境・労使関係の下で働けることは大切なことです。また、使用者にとっても、労働者がその能力を十分に発揮してもらうことは、経営において同じく重要なことです。労使トラブルは、往々にして、労働法や事実関係に関する理解や認識のずれ、行き違いから生じています。残念ながら、通常の協議・交渉でこれが埋まらなかったとしても、労働委員会における手続を通じて、認識を共通にし、理解を深めることで、よりよい労使関係が築けることも多くあります。労働委員会は、そのようなお手伝いをしているところです。 是非、頭の片隅にでも、「労働委員会」を置いておいてくださいね! |