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平成18年度県内市町村普通会計決算(速報)

更新日:2007年10月10日更新 印刷

 平成19年10月9日に報道発表した資料です。

1 決算規模

 県内市町村(政令市を除く64市町村)の平成18年度普通会計決算は、歳入総額が9,788億円、歳出総額9,513億円となり、前年度と比較して、歳入が△111億円(△1.1%)、歳出が△113億円(△1.2%)減少した。

 歳入については、地方税や地方譲与税は増加したが、繰入金や地方債が大幅に減少したこと、歳出については、扶助費や失業対策事業費は増加したが、普通建設事業費、積立金、人件費が減少したことが、歳入・歳出ともに減少した主な原因となっている。

 なお、平成18年度地方財政計画の歳入・歳出総額の伸び率は、△0.7%である。

2 決算収支

(1) 平成18年度における歳入歳出差引額(形式収支)は、275億円の黒字である。

(2) 上記の形式収支から、明許繰越等のため翌年度に繰り越すべき財源を控除した実質収支は、233億円の黒字である。

(3) 実質収支が赤字の市町村は、大牟田市のみである。

3 歳入の状況

 平成18年度の歳入総額は9,788億円で、地方譲与税(82億円、38.7%)、地方税(56億円、2.1%)が増加したものの、繰入金(△153億円、△29.7%)、地方債(△82億円、△8.2%)が減少したこと等により、前年度 (9,899億円)と比較して、△111億円(△1.1%)減少した。

 なお、使途が特定されず、どの経費にも自由に充てることができる一般財源は前年度と比較して、113億円(2.0%)増加し、歳入全体に占める構成比も、59.6%となり、1.9ポイント上昇した。

 主な歳入の状況は次のとおり。

(1) 地方税は、定率減税の見直し等の税制改正に伴い市町村民税の個人所得割(68億円、8.6%)が増加したこと等により、前年度と比較して、56億円(2.1%)増加した。

(2) 各種交付金は、地方消費税交付金(17億円、7.3%)が増加したこと等により、前年度と比較して、15億円(4.4%)増加した。

(3) 地方特例交付金は、平成18年度に創設された児童手当特例交付金(8億円、皆増)が増加したものの、減税補てん特例交付金(△26億円、△29.4%)が減少したことにより、前年度と比較して、△18億円(△20.3%)減少した。

(4) 地方交付税は、特別交付税(13億円、3.7%)が増加したものの、普通交付税(△34億円、△1.6%)が減少したことにより、前年度と比較して、△21億円(△0.9%)減少した。

(5) 繰入金については、平成17年度において市町村合併に伴う基金の再編や収支均衡のための基金の取り崩しが多額であったため、前年度と比較して、△153億円 (△29.7%)減少した。

(6) 地方債については、普通交付税の振替として発行される臨時財政対策債(△35億円、△10.6%)、臨時地方道整備事業債(△23億円、△33.1%)が減少したこと等により、前年度と比較して△82億円(△8.2%)減少した。

(7) その他の収入では、三位一体の改革に伴う税源移譲によって所得譲与税(83億円、89.1%)が増加したこと等により、前年度と比較して、83億円(6.5%)増加した。

4 歳出の状況

 平成18年度の歳出決算額は9,513億円で、扶助費(114億円、7.8%)、失業対策事業費(65億円、46.2%)が増加したものの、普通建設事業費(△181億円、△13.0%)、積立金(△32億円、△10.8%)、人件費(△32億円、△1.8%)が減少したこと等により、前年度(9,626億円)と比較して、△113億円(△1.2%)減少した。

 性質別に見た歳出の状況は次のとおりである。

(1) 義務的経費は、退職者の不補充等の新規採用の抑制や業務の民間委託等により、人件費(△32億円、△1.8%)が減少したものの、市町村合併に伴い生活保護事務が県から市へ移管されたことや児童手当制度が拡充されたこと等によって扶助費(114億円、7.8%)が増加したため、前年度と比較して、82億円(1.8%)増加した。なお、公債費は、地域総合整備事業債や義務教育施設整備事業債等の元利償還金が減少したが、臨時財政対策債や旧地域総合整備事業債(継続事業分)等の元利償還金が増加したため、前年度と同水準であった。

(2) 投資的経費は、その大部分を占める普通建設事業費(△181億円、△13.0%)が減少したことなどにより、前年度と比較して、△124億円(△7.8%)減少した。

 特に普通建設事業費のうち単独事業費が、道路整備事業や小学校の施設整備費等の減少により、△180億円(△20.8%)減少した。

 災害復旧事業費については、△8億円(△18.6%)減少した。

 失業対策事業費については、特定地域開発就労事業の終息に伴い、自立支援加算金及び特例援助金を支給したことにより、65億円(46.2%)増加した。

(3) その他の経費は、物件費(△25億円、△2.3%)や補助費(△20億円、△1.8%)が前年度と比較して減少した。

 積立金は、平成17年度において市町村合併による基金の再編に伴う積立金が多額であったため、前年度と比較して、△32億円(△10.8%)減少した。

 繰出金は、下水道事業会計への繰出金が減少したことにより、前年度と比較して、△26億円(△3.0%)減少した。

5 財政指標

 主な財政指標は、次のとおりである。

(1)経常収支比率

 経常収支比率は、経常的な経費に充てる一般財源に経常一般財源がどの程度充当されたかによって財政構造の弾力性を判断する指標である。

 この比率が100%を超えると、人件費、扶助費、公債費を中心とする経常的経費に充てる一般財源が地方税や普通交付税などの毎年度収入することが見込まれる使途が限定されない経常一般財源だけでは賄えなくなり、臨時的な歳出に対して、弾力的に対応できなくなる。

 平成18年度の経常収支比率(64市町村単純平均)は、94.6%で、前年度(93.7%)と比べて0.9ポイント増加したが、これは、経常一般財源等が60億円増加したものの、扶助費、繰出金及び公債費等の経常的経費に充てた一般財源が135億円増加したためである。

 扶助費は市町村合併に伴い生活保護事務が県から市へ移管されたことや少子化対策として児童手当制度が拡充されたこと、繰出金は下水道事業の繰出基準に汚水処理に係る経費が加えられたこと、公債費は臨時財政対策債に係る償還額が増加したことなどが主な要因である。

 経常収支比率が90%以上の市町村は前年度の50市町村から55市町村に増加し、100%以上の市町村は前年度と同数の11市町村であった。

(2)実質公債費比率

 一部事務組合や下水道、病院などの公営企業の元利償還金に対する負担金等を含めた実質的な公債費に充てた一般財源等の標準財政規模に対する比率で、平成19年6月に公布された「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(以下「健全化法」という。)において、健全化判断比率の1つとなる指標である。

 平成18年度の実質公債費比率(過去3カ年の平均)の64市町村単純平均は、12.5%で、前年度(11.9%)と比べて0.6ポイント増加したが、これは、平成18年度において、公債費に充てた一般財源等の額(繰上償還額に係る分を除く。)が増加したことに加え、臨時財政対策債発行可能額や普通交付税の減少により標準財政規模が縮小したことが要因である。

 また、実質公債費比率が18%以上となり、地方債の発行にあたって県知事の許可が必要となる市町村(政令市を除く。)は、前年度の2町村(東峰村、広川町)から3町村(東峰村、広川町、築上町)に増加した。

6 その他

(1)地方債現在高

 平成18年度末の地方債現在高は1兆757億円となり、地域総合整備事業債の現在高(△142億円、△19.5%)が減少したことなどにより、初めて、前年度末(1兆811億円)と比較して、△54億円(△0.5%)減少に転じた。

(2)積立金現在高の状況

 平成18年度末の積立金の現在高は、3,104億円となり、前年度末(3,151億円)と比較して△47億円(△1.5%)減少した。

 基金別にみると、財政調整基金の現在高は945億円(△1億円、△0.1%)、減債基金の現在高は361億円(△24億円、△6.2%)、その他特定目的基金の現在高は1,798億円(△22億円、△1.2%)で、前年度と比べて、すべて減少した。

7 まとめ

 平成18年度の県内市町村(政令市を除く)の決算は、歳入、歳出ともに、前年度に比べて減少した。

 歳入は、地方譲与税や地方税は増加したものの、繰入金や普通交付税の振替として発行される特例地方債(赤字地方債)である臨時財政対策債等の地方債が減少したことにより、減少した。

 歳出は、扶助費や失業対策事業費は増加したものの、普通建設事業費、積立金、人件費等が減少したことにより、減少した。

 財政の弾力性を表す経常収支比率は、前年度と比較して、0.9ポイント増加して94.6%となり、財政の硬直化が一段と進行している。

 また、地方債現在高は、減少に転じたが、実質公債費比率は、公債費に充てた一般財源等の額(繰上償還額に係る分を除く。)が増加し、標準財政規模が縮小したことにより、前年度と比較して、0.6ポイント増加して12.5%となっている。

 地方財政計画における歳出の抑制等に伴い、地方交付税の総額が減少する中で、自主財源に乏しい市町村では、厳しい財政運営を迫られている。そのような極めて厳しい状況の中、経済の動向や市町村の財政を取り巻く状況を的確に捉え、中・長期的視点に立った計画的な財政運営を行う必要がある。

 また、事務事業の見直し、組織の簡素効率化、定員・給与の適正化など行財政改革を一層推進するとともに、市町村合併等によって行財政運営の効率化と基盤の強化を図ることが喫緊の課題である。

 なお、「健全化法」において、平成19年度決算からは一般会計等普通会計の収支だけでなく、国民健康保険や下水道等の事業会計を含めた収支、さらには、当該市町村が負担すべき一部事務組合や第三セクター等の関係団体を含めた債務の状況について公表することが、さらに、平成20年度決算からはこれらが一定程度以上悪化した場合については、財政健全化計画等を策定することが義務づけられたところである。

 このような状況を踏まえ、市町村においては、これまで以上に普通会計だけではなく、公営企業や関係団体を含めた市町村全体の財政状況について把握するとともに、今後政令で示される早期健全化の基準を上回ることが見込まれれば、法施行前においても財政健全化計画の策定など早期是正に向けた取り組みを行なう必要がある。

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