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外来種について~外来生物法と侵略的外来種リストと防除マニュアル~
外来種とは
外来種とは、もともとその地域におらず、人間活動により自然分布域(その生物が本来もっている能力で移動できる範囲に定まる地域)を越えて入ってきた生物のことを指します。
外来種は、日本に自然分布域をもたない海外から持ち込まれた生物だけでなく、日本に自然分布域をもっているが、その自然分布域を越えて、他の地域に持ち込まれた生物も外来種になることがあります。
・国外由来の外来種:アライグマ、オオクチバスなどのように国外から持ち込まれたもの
・国内由来の外来種:国内に自然分布域をもっているが、その自然分布域を越えて国内の他地域に持ち込まれたもの
例)もともと琵琶湖のみに生息しているが、放流などにより琵琶湖以外の地域に持ち込まれたビワヒガイなど
日本の野外に生息・生育する外来種の数は、2,000種を超えるといわれており、農作物や家畜、ペットのように私たちの生活に欠かせない生物もたくさんいます。一方で、外来種の中でも、生態系、農林水産業、人の生活や身体等に被害を与える生物がおり、これらを「侵略的外来種」といいます。
外来生物法
これらの侵略的外来種に対応するため、平成17年に「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」が施行されました。
この法律では、外来種のうち、生態系、人の生命・身体、農林水産業に被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれのあるものを「特定外来生物」として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いを規制し、特定外来生物の防除等を行うこととしています。
- 規制されている行為
飼育・栽培・保管・運搬・販売・譲渡・輸入・野外に放つ‥など - 違反した場合の罰則
最高で、個人の場合3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、法人の場合1億円以下の罰金が科されます。 - 防除について
国はもとより、地方公共団体、民間事業者、NPO、一般人も防除をすることができます。
外来種が引き起こす被害
生態系は、長い期間をかけて形成された微妙なバランスのもとで成立しています。ここに人の活動によって自然分布域の外の国や地域から外来種が侵入すると、生態系のみならず、人間や農林水産業に悪影響を及ぼす場合があります。もちろん全ての外来種が悪影響を及ぼすわけではなく、自然のバランスの中に組み込まれ、大きな影響を与えずに順応してしまう生物もいます。しかし、中には非常に大きな被害を及ぼすものもいます。
外来種が引き起こす代表的な悪影響として以下の3つがあげられます。
1.日本固有の生態系への影響
在来種を食べる、在来種の生息環境やえさを奪い合う、近縁の在来種と交雑して雑種をつくる
2.人の生命・身体への影響
毒をもっている、人をかんだり刺したりする
3.農林水産業への影響
農林水産物を食べる、畑を踏み荒らす
福岡県侵略的外来種リスト2018の作成について
こうした侵略的外来種による被害は、福岡県内でも確認されていますが、県民の多くはこのような問題について知らないことが多く、対策が取られていないのが現状です。
このため、県民皆さんの外来種に関する意識の向上と今後の外来種対策における基礎資料(福岡県内で確認されている外来種やその生態、分布状況、対策の優先順位等)とするため、平成30年3月に福岡県の定着状況や被害実態を踏まえた「侵略的外来種リスト2018」を作成しました。
侵略的外来種リストの掲載種選定の考え方
以下のような流れで侵略的外来種を選定し、4つの区分にカテゴリーしました。
カテゴリー区分の考え方と主な掲載種
1.重点対策外来種(動物10種、植物10種 計20種)
影響・被害は甚大で対策の必要性が高く、対策の実行可能性・実効性が見込めるため、積極的な防除が必要な外来種
動物(10種) | アライグマ、チョウセンイタチ、アカミミガメ、ウシガエル、タイリクバラタナゴ、オオクチバス(ブラックバス)、ブルーギル、アメリカザリガニ、セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモ |
植物(10種) | バクヤギク、園芸スイレン、オオフサモ、ブラジルチドメグサ、オオキンケイギク、ミズヒマワリ、ナルトサワギク、コウガイセキショウモ、ホテイアオイ、ボタンウキクサ |
2.要対策外来種(動物51種、植物88種 計139種)
影響・被害は甚大で対策の必要性が高いものの、対策の実行可能性・実効性が相対的に低いため、防除の検討、普及啓発が必要な外来種
動物(51種) | イチモンジタナゴ、カダヤシ、トガリアメンボ、ハラアカコブカミキリ、スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ) など |
植物(88種) | アツミゲシ、アレチウリ、ヒメジョオン、セイタカアワダチソウ、キショウブ など |
3.要注意外来種(動物34種、植物82種 計116種)
影響・被害は限定的だと考えられるため、普及啓発を中心とした対策が必要な外来種
動物(34種) | コブハクチョウ、グッピー、ナイルティラピア、チャトゲコナジラミ、オオクビキレガイ など |
植物(82種) | ヒメツルソバ、ツルニチニチソウ、フランスギク、ミズヒナゲシ、フトボメリケンカルカヤ など |
4.定着予防外来種(動物21種、植物8種 計29種)
県内に未定着であるが、今後定着の可能性が高く、侵入の予防や発見した際の早期防除が必要な外来種
動物(21種) | ヌートリア、カミツキガメ、アリゲーターガー、ヒアリ、ツマアカスズメバチ など |
植物(8種) |
ナガバアカシア、ウスゲオオバナミズキンバイ、オオカワヂシャ、オオハンゴンソウ、ヒガタアシ など |
各分類群のカテゴリー区分別種数
福岡県侵略的外来種リスト2018
第1章 福岡県侵略的外来種リストの策定にあたって [PDFファイル/2.85MB]
第2章 福岡県侵略的外来種リスト選定種の解説 [PDFファイル/1.53MB]
第3章 侵略的外来種の分布図 [PDFファイル/18.41MB]
資料(全外来種リスト、侵略性の評価手法、参考文献) [PDFファイル/1.72MB]
福岡県侵略的外来種防除マニュアル2021の作成について
「侵略的外来種リスト2018」 にて整理した侵略的外来種のうち、福岡県において特に対策の優先度が高いと評価された重点対策外来種20 種を対象に、生態的特徴や類似種との識別点、防除効果が高いとされている防除手法などをまとめた「侵略的外来種防除マニュアル2021」を作成しました。
重点対策外来種(動物10種、植物10種 計20種)
影響・被害は甚大で対策の必要性が高く、対策の実行可能性・実効性が見込めるため、積極的な防除が必要な外来種
動物(10種) | アライグマ、チョウセンイタチ、アカミミガメ、ウシガエル、タイリクバラタナゴ、オオクチバス(ブラックバス)、ブルーギル、アメリカザリガニ、セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモ |
植物(10種) | バクヤギク、園芸スイレン、オオフサモ、ブラジルチドメグサ、オオキンケイギク、ミズヒマワリ、ナルトサワギク、コウガイセキショウモ、ホテイアオイ、ボタンウキクサ |
侵略的外来種防除マニュアル2021
〇分割版
第1章 侵略的外来種防除マニュアルの作成にあたって [PDFファイル/556KB]
第2章 侵略的外来種の防除に関する基本的考え方 [PDFファイル/870KB]
第3章 福岡県重点対策外来種の防除方法(動物1) [PDFファイル/20.8MB]
第3章 福岡県重点対策外来種の防除方法(動物2) [PDFファイル/13.43MB]
第3章 福岡県重点対策外来種の防除方法(植物1) [PDFファイル/20.46MB]
外来種の被害を防ぐには
環境省では、外来種による被害を未然に防ぐため、外来種被害予防3原則を提唱しています。
1.入れない
悪影響を及ぼすおそれのある外来種を自然分布域から非分布域へ「入れない」
外来種問題を引き起こさないために、一番大切なことです。外来種を入れなければ問題は起きません。
2.捨てない
飼養・栽培している外来種を適切に管理して「捨てない(逃がさない、放さない、逸出させない)」
ペットや観葉植物は、最後まで管理する責任があります。
3.拡げない
すでに野外にいる外来種を他地域に「拡げない(増やさない)」
野外に定着してしまっている場合には、まだ定着していない地域に拡げないことが大事です。
関連する情報
環境省のホームページ(新しいウインドウで開きます。)