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(1) 労働組合の資格審査とは
2 労働組合の資格審査
[ (1)労働組合の資格審査とは | (2)資格審査が必要になる場合とは | (3)審査手続 ]
労働組合は、自主的に組織され、自主的に運営されるものです。
したがって、労働組合をつくっても、どこにも届け出る必要はありません。
しかし、労働組合が労働組合法の定める手続に参与(注1)したり、救済を受ける(注2)ためには、一定の資格要件(注3)を備えていなければなりません(労働組合法第5条第1項)。
労働委員会がこの資格の有無を審査することを「労働組合の資格審査」(労働委員会規則第22条~第27条)といいます。
(注1)「労働組合法の定める手続に参与する」
具体的には、次の手続をさしています。
- 法人登記の手続(労働組合法第11条)
- 労働協約の地域的拡張の申立ての手続(同法第18条)
- 労働委員会の委員の推薦手続(同法第19条の3第2項、第19条の12第3項)
- 不当労働行為救済申立ての手続(同法第27条)
(注2)「救済を受ける」
不当労働行為に関する労働委員会の救済(労働組合法第27条)をさしています。
(注3)「一定の資格要件」
資格審査は、次の要件を備えているかどうかについて行われます。(労働組合法第2条、第5条第2項)
ア 自主的な労働組合であること
(ア)労働者が主体となって自主的に組織されていること
(イ)組合の主目的が労働条件の維持改善、経済的地位の向上にあること
(ウ)使用者の利益を代表する者の参加を認めないこと
(エ)使用者から経理上の援助を受けないこと
(オ)共済事業その他福利事業のみを目的とするものでないこと
(カ)政治運動又は社会運動を主目的とするものでないこと
イ 労働組合の規約に次のような規定が含まれていること
(ア)労働組合の名称
(イ)労働組合の主たる事務所の所在地
(ウ)均等取扱い
連合団体でない労働組合(単位労働組合)の場合には、組合員がその労働組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取扱いを受ける権利を有すること
(エ)組合員資格
何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によって組合員たる資格を奪われないこと
(オ)役員の選挙
単位労働組合の場合には、役員は組合員の直接無記名投票により選挙されること。
連合団体である労働組合又は全国的規模をもつ労働組合の場合には、役員は、傘下の単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票により選挙されること
(カ)総会の開催
少なくとも毎年1回開催すること
(キ)会計報告
すべての財源及び使途、主要な寄附者の氏名並びに現在の経理状況を示す会計報告は、組合員によって委嘱された職業的に資格がある会計監査人による正確であるとの証明書とともに、少なくとも毎年1回組合員に公表されること
(ク)同盟罷業の開始
同盟罷業を行うには、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票を行い、その有効投票の過半数の賛成を得ることが必要であること
(ケ)規約の改正
規約を改正するには、単位労働組合の場合には組合員の直接無記名投票を行い、全組合員の過半数の賛成を得ることが必要であること。
連合団体である労働組合又は全国的規模をもつ労働組合の場合には、傘下の単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票によって全組合員又は全代議員の過半数の賛成を得ることが必要であること