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粕屋地区の慢性腎臓病(CKD)への取り組みと、その成果と課題について(報告)

更新日:2023年9月25日更新 印刷

「粕屋地区CKD連携システム」の取組と成果及び課題についての研究報告(加野病院 片渕律子先生)

 

 粕屋地区では、医療機関と行政が連携を図り、効果的かつ効率的な取り組みを通じて、住民が生涯にわたり健康な生活を送ることができる地域を目指しています。

 特に、人工透析を予防するための慢性腎臓病(CKD)対策として、平成24年度に行政、かかりつけ医、腎臓内科医が連携して、自覚症状のない時期から適切な医療と保健指導を行う「粕屋地区CKD対策連携システム」を立ち上げて取組を行ってきました。

 この度、その取り組みによる成果をみるため経年的なデータを解析した研究報告書が、加野病院の片渕医師により纏められましたので、ここにご報告させていただきます。

粕屋地区CKD連携システムが慢性腎臓病進行に及ぼす影響について

 ○ システム立上げ後は、eGFRの変化の傾きが優位に低下していました。

 このことは、粕屋地区CKD連携システムによりeGFRの下がりが緩やかになった、すなわち慢性腎臓病の進行が抑制できたことが分かりました。

 

慢性腎臓病の進行に関係するリスク因子について

 〇 悪玉コレステロール、中性脂肪、尿酸は経時的に低下していました。

 〇 善玉コレステロールは上昇していました。

 〇 尿蛋白も経時的に低下していました。

  ➡ これらのリスク因子の是正が、慢性腎臓病の進行抑制につながったものと思われました。

 一方、

 ● 収縮期血圧、HbA1c、尿糖は経時的に上昇しており、血圧コントロールや血糖コントロールが不十分であることがわかりました。

薬物療法、既往歴について

 ● 血圧を下げる薬、コレステロールをさげる薬、血糖を下げる薬の使用は経時的に増加しており、治療を必要とする人が増えたことが示唆されました。

 ● 脳卒中の頻度は増加していました。

 ●慢性腎臓病と診断された人の数が最終健診受診時も2%と少なく、慢性腎臓病という言葉を、皆様に広くお知らせするひる必要があることが分かりました。

 

生活習慣について

 ○ 喫煙者は経時的に減少、体重増加者の減少、運動習慣の増加、歩行速度の上昇、体重増減の減少、夜食習慣の減少、アルコール摂取量の減少など、生活習慣が有意に改善したことがわかりました。

 ● 生活習慣改善の意思に変化はなく、生活習慣改善の重要性について皆様にもっと広く知っていただく必要があることがわかりました。

保健指導について

 保健指導を受けた人は受けていない人に比べ、BMIや腹囲が大きく、腎機能も悪く、尿糖の程度も高度でした。

 ○ 保健指導を受けた人は高リスクにも拘らず、システム立上げ後のeGFRの変化の傾きは0.0073とゼロに近く、保健指導の効果を示すものと思われました。

 ● 問診票では保健指導希望者は経時的に減少していました。保健指導の有効性を皆様に広く知っていただくことが、今後の課題であることがわかりました。

皆様のご意見をお聞かせください。

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