本文
福岡県情報公開審査会答申第123号
「特定個人の運転免許証の写しの非開示決定処分に対する審査請求」の答申内容を公表します。
答申
1 審査会の結論
福岡県警察本部長(以下「実施機関」という。)が、平成18年11月13日福警運管第1569号で行った公文書非開示決定(以下「本件決定」という。)は、妥当である。
2 審査請求に係る対象文書の開示決定状況
審査請求に係る対象文書(以下「本件文書」という。)は、特定個人の運転免許証の写しである。
実施機関は、本件文書について、その存否を答えるだけで、特定個人の運転免許証の交付の有無という福岡県情報公開条例(平成13年福岡県条例第5号。以下「条例」という。)第7条第1項第1号に掲げる非開示情報(個人情報)を開示することになるとして、条例第9条(公文書の存否に関する情報)の規定に基づき本件決定を行った。
3 審査請求の趣旨及び経過
(1)審査請求の趣旨
審査請求の趣旨は、実施機関が行った本件決定の取消しを求めるというものである。
(2)審査請求の経過
ア 平成18年11月6日付けで、審査請求人は、実施機関に対して、条例第6条第1項の規定に基づき本件文書の開示請求を行った。
イ 平成18年11月13日付けで、実施機関は本件決定を行い、その旨を審査請求人に通知した。
ウ 平成19年1月15日付けで、審査請求人は、本件決定を不服として、福岡県公安委員会に審査請求を行った。
エ 平成19年2月1日付けで、実施機関は、審査請求書に行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第15条第1項に規定する記載事項について記載漏れや不明確な点があり、不適法であるとして補正命令を行った。
オ 平成19年2月15日付けで、実施機関は、審査請求人の補正書を受領した。
カ 同補正書においても記載事項に不備があったため、実施機関は、再度の補正を求めたところ、平成19年2月16日付けで、審査請求人から当該不備を補充する補正書が提出された。
4 審査請求人の主張要旨
審査請求書及び意見陳述における審査請求人の主張を要約すると次のとおりである。
特定個人の生存について疑義があるため、関係機関に確認をしたところ、運転免許証により特定個人の生存が確認されたとのことである。当該免許証が特定個人のものであるかどうかを確認するために、本件文書の開示を請求したものである。
5 実施機関の説明要旨
6 審査会の判断
本件文書は、特定個人の運転免許証の写しである。
(2)本件文書の存否応答拒否について
条例第9条は、開示請求に係る公文書の存否を明らかにするだけで、条例第7条第1項各号の非開示情報を開示することとなる場合に、実施機関は、公文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否できることを定めている。
本号は、個人の尊厳の観点から、個人のプライバシーを最大限に保護するため、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができる情報は非開示とすることを定めたものである。
本件文書の存否を答えることは、特定個人が運転免許証の交付を受けているか否かの事実を答えることとなるものであり、その情報は、個人に関する情報で特定個人が識別できるものであることから、本件文書は、本号本文に該当すると認められる。
イ 条例第7条第1項第1号ただし書該当性について
個人情報に該当する場合であっても、本号ただし書に該当する情報については、例外的に開示することが定められているが、本件文書は、本号ただし書のいずれにも該当しないものである。
(3)審査請求人のその他の主張について
審査請求人は、本件開示請求を行った経緯等について種々主張しているが、当審査会は、実施機関が行った非開示決定等の妥当性を判断する機関であるため、当該主張は当審査会の判断を左右するものではない。
以上の理由により、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
(1)本件文書の内容及び性格について