ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 健康・福祉・子育て > 子ども・青少年 > 青少年健全育成 > 平成28年度奨学生レポート

本文

平成28年度奨学生レポート

更新日:2021年5月13日更新 印刷

2016年秋

江頭 香蓮
アイルランド トリニティカレッジ ダブリン大学(経営学、経済学および社会学部)

 

 9月から始まったアイルランドでの大学生活。Michaelmas Termと呼ばれる、1学期に当たる学期は、まさに一朝一夕であった。入寮日からの始めの一週間は、フレッシャーズウィークと呼ばれ、大学全体が新入生を受け入れるために大いに盛り上がる。歴史ある石造りの校舎に圧倒され、その重圧感から創設1592年という長い歴史を感じる。

 アイルランドの学生生活で一番驚いたことは、アイルランドとアメリカの国交の深さだ。きっかけとしては、時期がまさに、米大統領選挙真っ只中ということも一つに挙げられるが、友人が頻繁にアメリカの政治問題をあげるだけでなく、授業自体でも、アメリカの実例をよくあげることが多かった。その背景として、アイルランド自体のEU間では比較的に低い法人税の安さなどが、アメリカからなどの多国籍企業を多く誘致する原因などがあげられると思う。授業は、400人ほどの学生が収容される大規模な講堂で行なわれる「レクチャー」を中心に、基本的な考えを得て、各教科に対して行われる「チュートリアル」という少数人数制のグループワークでさらに、細く突き詰めた学習を、チューター(専任講師)と学生のディスカッションを通して行う。このチュートリアルではチューターの指導が大きく異なるので、一方のチューターは学生にプレゼンテーションを行わせたり、もう一方では、学生同士の討論をメインに行われるなど、かなり差がある。

 私は、特に「人材」に関心があるのだが、ビジネスのグループワークを通じて、個人のモチベーションに関して考えることがあった。そのグループワークというのは、レクチャーで提示された経営論に対し、それをサポートする論文を分けられたグループごとに読み、チュートリアルで発表するというものなのだが、なかなか、そのグループサーチがうまくいかなかった。このうまくいかなかった原因を、個人主義的な国民性のせいと抽象的に推測することも可能ではあるが、私はこの失敗に対し、非常に興味がわいた。経営論というのは人をどう一つの企業の傘下の元に上手にまとめていくか、ということを学問にしたものであると私個人で解釈しているのだが、そのような論理を学びつつも、いざ現実的な話になると理論と行動がともわないのが面白いと思ったからだ。このギャップに気付いた後、このような矛盾に世間は溢れていることに気づき、一つ一つ書き留めては、本を読んだり、ネットなどを通して解決していくように心がけるようになった。

 日本にいる頃は、こう言った興味を感じてもなかなか共有できる友達がいなかったが、この大学に行って、私の些細な疑問を共有できる友達を見つけることができた。これは非常に私の人生において、大きな変化であったと思う。私は、自分が学んだことで社会貢献できたいと思っている。「学んだこと」ということをもっと具体化すると、積み重なった知識である。私は、ビジネスに興味があるが発想性が乏しいと自覚しているので、新たなプランを立てるなどといったクリエイターのような立場は向いてないと思うが、情報収集や既存のプランに対する知識などを積み上げていくのは得意な方だと思うので、企業内での情報の引き出しのような役割をしたいと考えている。勉強が好き、ということだけが私の取り柄と思っているので、Trinityで過ごす4年間、有意義に学びたいと思う。


田中 穂菜美
米国 マウントホリヨーク大学

 

 アメリカでの大学生活が始まってから様々なことがありましたが、振り返ってみればあっという間の一学期目でした。この一学期を振り返る前に、私の通うマウントホリヨーク大学について少しご紹介させていただきます。

 Mount Holyoke Collegeは、アメリカ・マサチューセッツ州にあるリベラルアーツカレッジで、アメリカ最古の歴史を誇る女子大です。セブンシスターズの一校でもあり、歴史と伝統を大切にしながらも新しいものを取り入れる校風です。学生の4分の1は私のような留学生で、LGBTの学生にも優しいキャンパスとしても知られており、本当に多様性あふれる学校です。学業面では他のリベラルアーツカレッジと同様、教養を大切にしており、専攻に関わらず、多くの分野のコースを受講することが勧められます。また、キャンパスは自然豊かなところに立地しており、空気も夜の星空もとてもきれいです。

 大学では寮に住んでいます。マウントホリヨーク大学には寮が10つほどあり、最初の一年は住む寮とルームメイトはランダムに決められます。ルームメイツとも気が合い、とても快適に過ごしています。課題が多いので、私は平日も休日も図書館で過ごすことが多く、夜遅くに部屋に帰ることもしばしばあります。そんなときに支え合えるルームメイツがいてとても良かったと思っています。

 課外活動としては、乗馬のチームに入っています。全米2位の強豪チームで、コーチもチームメイトもとてもレベルが高く、刺激を受ける日々です。私は乗馬を大学から始めましたが、本当に楽しく、練習のない日でもおやつのりんごを持って馬たちに会いに行くほど私の生活の一部になっています。

初めての乗馬の試合で撮った馬とのツーショット

この写真は乗馬チームの馬と撮ったものです。

 勉強や課題に追われる日々でしたが、時間があるときには大学内にある大きな池の周りをお散歩したり、友人たちとおひさまの下でピクニックをしたり、音楽室で友だちと心ゆくまで歌ったりと忙しさよりも楽しさあふれる一学期でした。来学期も引き続き勉学に励み、充実した生活を送っていきたいと思っております。

2017年春

田中 穂菜美
米国 マウントホリヨーク大学

 

 雪が降り積もる中、スノーブーツを履いて授業に向かっていた学期始めが遥か昔に感じられるほど、今学期は忙しく充実した学期となりました。今学期は、アカデミックな面でも課外活動の面でも生活面でも、新しい発見や経験が多くありました。

 アカデミックな面では、やはり自分は化学が好きなのだということを再発見しました。ただ頭に知識を詰め込まれる授業ではなく、「なぜ」「どうして」を大切にした、質問も意見も大歓迎の授業でした。興味のある内容であればあるほど、次々と疑問が浮かんでくる私にとって、いつでも質問が受け入れられるという教授やクラスの雰囲気がとても好きでした。また、今学期はフルートアンサンブルの授業も取り、中学以来離れていたフルートに戻ることができました。合唱も先学期から取っていたChoraleという大人数の合唱に加えて、Chamber Singersという主に古典音楽を扱う、少人数でハイレベルなグループのオーディションにも受かり、こちらの合唱の授業も取りました。レベルの高い仲間に囲まれて、刺激的な時間になりました。

 また、今学期最も大きかった変化は、所属している乗馬チームでの活動でした。私の通うマウントホリヨーク大学は乗馬チームがとても強く、毎年全米大会に出場しています。今年も高い競争率の中、地区大会と支部大会を勝ち抜き、全米大会への切符をチームとして手に入れました。乗馬はレベルごとに競技が行われますが、私は初級部門のチーム代表に選ばれ、全米大会に出場させていただくことになりました。昨秋に乗馬を始めたばかりで、まさか自分が選ばれるとは思ってもおらず、選ばれた嬉しさやプレッシャーよりも驚きばかりが大きく、ただ唖然としてコーチの話を聞いていたことを覚えています。それから大会までの1ヶ月間、毎朝練習をしました。先学期と同様にあった大量の宿題や、フルートや合唱のコンサートの練習に加えて毎朝乗馬の練習があったことは体力的にも精神的にもこたえましたが、練習の成果が目に見えて分かったときや、チームに貢献できていると感じたとき、「もっと上を目指したい」という気持ちでいっぱいになり、勉強も練習もモチベーションを保つことができました。周りのサポートのおかげで、全米大会で6位入賞したときは、本当に感無量でしたし、それまでこれといった特技のなかった私にとって大きな自信につながりました。来学期も、より上を目指して楽しく乗馬を続けていきたいと思っています。

 他にも新しい経験として、大学にある日本のお茶室で働き始めました。普段は庭園とお茶室のツアーをしていますが、高校で茶道部に所属していたこともあり、ぜひ日本の文化を伝えるためにお茶会を開かせてもらいたいというお願いを快く聞き入れてもらい、何度か小さなお茶会も開催しました。日本の文化に興味を持っている人は私が思っていたよりもずっと多く、母国の文化を伝えられる機会を与えられてとても嬉しく思います。マウント・ホリヨーク大学は、学校全体として多様性を受け入れる校風があり、学生全体の約4分の1が海外からの留学生であり、宗教も様々、LGBTQの学生も多くいて、様々なバックグラウンドを持つ学生が集まっています。今年から始まったDiversity day(学内のあらゆる多様性を祝福する日)では、大学全体をあげて様々な多様性について話し合ったり、学外からのゲストスピーカーの話を聞いたりする機会があり、多様性に関する理解がより深まりました。このような大学はアメリカでも多くはなく、このような環境の中で学ぶことができて幸せだと思っています。お互いを認め合える環境にいるからこそ、これからも他者から学び吸収するとともに、私のもつものも共有していきたいです。

 全体として、今学期はアカデミックと課外活動のバランスに苦労したという印象がありました。来学期から、専攻の専門科目を少しずつ取り始め、今学期よりも更に忙しくなりそうなので、課外活動に励みながらも、勉学を疎かにせず、授業で多くを吸収していきたいと思います。

ルームメイトと1年生最後の日に撮影したもの

写真:ルームメイトと1年生最後の日に撮ったもの。ルームメイトに恵まれ、お互いに助け合いながら、仲良く充実した寮生活を送ることができました。

乗馬のチームメイトと

写真:乗馬のチームメイトと撮ったもの。ショー(試合のこと)には、このような服装で出場します。

大学内にあるチャペル

写真:大学内にあるチャペル。合唱やオーケストラのコンサートはここで行われます。

全米大会出場チームのメンバーと応援組で撮ったもの。

写真:全米大会出場チームと応援組で撮ったもの。大会はケンタッキー州で行われました。

 

川口 理沙
米国 サウスカロライナ大学(経済学部)

 

 アメリカの大学ではいろんなクラブ活動やコミュニティーがあり、私はCarolina Ballroomに所属しています。Carolina Ballroomは社交ダンスクラブで、週2で練習があり、競技会とショーで踊ります。

 現地学生と友達になる1番の近道は、クラブ活動に参加することだと思います。このクラブで出会った友達とは、練習以外でも、大学のバスケの試合を家で応援したり、映画を観に行ったりしています。

 次学期から1年間、このクラブのSecretary (秘書)を務めることになりました。選挙でクラブの皆さんの票で決まりました。次の留学レポートで具体的にどんな仕事をするか報告したいと思います。

 写真は次期のPresidentと Vice President, Treasure, Secretaryを務める皆さんです。

 ダンス部の役員と

ダンス部の皆さんと

ダンス部の皆さんと肩を組んで

ダンスを2人で踊る

 University of South Carolina では多くの留学生がいる大学です。

 大学内でのHoli Festival に参加した時の写真です。Holi Festival は、インドやネパールのヒンドゥー教の春祭りで、春の訪れを祝い、人々に色粉を塗りあったり色水を掛け合ったりして祝うお祭りです。アメリカの大学で、このように違う国や宗教の文化や習慣に触れ合う機会が多くあります。アメリカは、いろんな国から人々が集まった多国籍な国であると改めて感じます。

大学内のお祭りで

大学内のお祭りで友人と

 春休みの期間を使って、キューバに7日間行きました。オバマ前大統領が2016年キューバを88年ぶりに訪問をきっかけに、アメリカからキューバへのアクセスがしやすくなりました。未だにアメリカ人の入国はかなり難しいですが、キューバがアメリカ化する前に、キューバに訪れたいと思い、旅行を計画しました。ホテルの予約をせず、現地に着いてから、宿を探し、キューバの方々の家に泊めていただきました。キューバの人たちと話し、ふれあってわかったことは、キューバ人はとても暖かい国民性で、私たちが北朝鮮にもつ社会主義のイメージはありませんでした。私たちは限られた情報で物事を決めることがありますが、より国際社会を知るためには、現地に行かないとなかなかわからないことが多くあるとこの旅行で感じました。

キューバへの旅行

2017年夏

川口 理沙
米国 サウスカロライナ大学(経済学部)

 

 サウスカロライナ大学はSemester制で、Fall Semester秋学期, Spring Semester春学期, Summer Semester夏学期の3つの学期に分けられます。1学年は秋と春学期で構成されます。早めに卒業したい場合や、秋と春学期に単位を落とし再受講希望の場合、夏学期を受講することができます。

 私は大学1年を2017年の1月から始めたため、2020年の12月卒業予定でしたが、卒業時期を2020年の5月に早めたいため2017年夏学期の受講を決めました。つまり、私の大学1年は春学期と夏学期で、2017年の秋学期から大学2年に無事進級することができました。アメリカでは、このように自分の卒業時期を自分の将来設計の元に変更することができます。

 夏学期は秋と春に比べて短く、授業は1コマ145分間、それが週4日で2ヵ月ほどです。授業の進み方も早く、夏学期の1日は普通の学期の1週間分の内容で進みます。宿題と小テストは毎日あり、テストは週1ということもあり、かなりハードスケジュールになります。私はこの夏学期に13単位(5クラス)を受講しました。私の1日のスケジュールは8時半から5時まで授業があり、帰宅後は宿題と復習に追われていました。金曜から日曜は授業がないのですが、テストが毎週あるので、その勉強とレポートエッセイをしなければいけませんでした。

 私のように卒業時期を早めたい、または単位落としてしまったなどの理由がなければ、夏学期に授業を受けることはあまりお勧めしません。またアメリカ現地の学生はほとんど夏学期を受講しないので、キャンパスは非常に静かです。校内のクラブ活動はもちろん、イベントもなく、食堂は閉まっています。毎日自炊しながら、勉強に追われた夏でした。

 勉強だけの夏でしたが、Fourth of July (Independence Day)アメリカ独立記念日は祝日なので、友達とお世話になっているアドバイザーと祝うことができました。下はそのときの写真です。

独立記念日に友人たちと

 サウスカロライナ大学は、海外留学生の受け入れや国際教育に力を入れております。特に大学の学長は、海外留学生との交流を大切にされていて 、留学生との仲を深めていらっしゃいます。 学校長とはあまりお会いする機会がないのですが、その留学生交流会に招待されましたので、お話しすることができました。

 サウスカロライナ大学には「卒業するまでにすることBucket List」というものがあり、そのリストの中に「学校長と写真をとる」、「学校長とハイタッチする」、「学校長と話をする」というのがあります。その3つを達成することができたので、大変嬉しくなりました。私はこの大学の唯一の日本人学生ということもあり、夢に向かって、勉強も何事も頑張るように、また初日本人学生としてこの学校に歴史を作って下さいと応援の言葉を頂きました。

学校長を含む4人で

 私の大学には、海外留学生をサポートするプログラムがあります。大学1年生の間はそのプログラムのアドバイザーさんが授業のことや、進路、成績、または学校生活まで相談に乗ってくれます。そのプログラムでは、大学1年生の留学生と知り合う会や小旅行も企画してくれるので、たくさんの留学生と友達になることができます。

 大学1年の終わりに、このプログラムの卒業式がありました。その卒業式で生徒代表として選ばれ、スピーチをさせていただきました。1年生は必須科目の受講がほとんどで、アメリカの学校生活に慣れるための時期でした。2年生からは、自分の専攻の講義が始まり、寮ではなくオフキャンパスでの生活になり、またインターンシップや将来の進路について決め3年生の就活の準備もし始めます。そういった意味で、留学生サポートプログラムの卒業式は私の節目でもありました。スピーチでは、このプログラムのアドバイザーの方々に対しての感謝の言葉と、2年生の目標をスピーチで話しました。

学生をサポートするプログラムの皆さんと

2017年秋

江頭 ⾹蓮
アイルランド トリニティカレッジ ダブリン大学(経営学、経済学および社会学部)

 

今年は新学期の始まりに、ハリケーンとは無縁のアイルランドに嵐が直撃し、早々に休校となる事件から始まりました。寮にはテレビなどなく、前⽇のジムで偶然に⽬にした天気予報でハリケーンの存在を知り、⼀⼈でドキドキしていましたが、休校が決まると、⽇本の学⽣と同じようにはしゃぐアイルランドの学⽣たちの姿を⾒て、少し微笑ましくなりました。

週に⼀度、アーチェリー部の活動に参加し、もちろんアイルランド⼈を始め、ポーランド⼈、短期留学で来たスペイン⼈などの部活動を楽しみました。やはり、国境の隔たりがないヨーロッパ(EU 圏内)だからでしょうか、部活中に英語だけでなくスペイン語、フランス語、ポーランド語といったヨーロッパ⾔語だけでなく、中国語、さまざまな⾔語が⾶び交います。多⺠族国家のアメリカに⾏ったことがないので、アメリカとの⽐較ができませんが、このように多種多様な⽂化や⾔語が⼀つの空間に同時に存在できるということは、⽇本ではなかなか体験できることではないと思います。私はさまざまな社会集団が競争し、⾃⼰の利益を追求するのではなく、お互いが相互の利益を⾼め合う「協競」する社会を⽬指すという⾃分の考えがあり、⽇本を離れて⽣活していくということは、その考えに多くの刺激を与えます。

「多様性」というイデオロギーが社会に浸透する⼀⽅、ポリティカル・コレクトネスという正義をまとった新たな不⾃由さが静かに広がっているように感じます。男⼥平等、⼈種差別、格差社会、それらの差を無くそうと活動する団体をはじめ、⾊々な考えが乱⽴するのが今の時代だと思います。空と海が交わる場所など、誰も⾒つけることができないのに、その場所を追い求め船を出す。まさに15、16 世紀の⼤航海時代のように、21 世紀の⼈々は思想という⼤海原へ船を推し進めています。このような異⽂化が混在し、⽬まぐるしい発展を⾒せる社会で⽣きるということは、時折、⾃分が良識だと思っていたことさえも打ち砕く時もあります。さらに、相⼿の些細な⼀⾔が⼼にちくりと棘を刺す時もあります。そのような⽇々の出来事は、私⾃⾝の揺るがない信念を試してきます。その度に⾃⾝の指標と外部を測り合わせて、⼈に流されず強い意思を持てるように意識しています。

Trinity College では、Mental Health Week(⾝体だけでなく、精神の健康を呼びかける世界的運動の週)にはセラピードックが⼤学に派遣され、多くの学⽣が⽝たちに癒されたり、Zoology Society(動物学研究同好会)による本物の動物や昆⾍の触れ合い会など、⽣き物と触れ合う機会が数多く催されています。これは、Agriculture Society(農学研究同好会)による家畜との触れ合いに⾏った際撮った、⼦ヤギの写真です。

アニマルセラピーの動物

アイルランドはイギリスと同じように、いつも、どんよりとした重い雲が空を覆っているイメージが強いと思いますが、時折、⾒られる晴れ晴れとした空に気分も清々しくなります。しかし、⼤学が終わる⼣⽅にはすぐ、⾬空に変わってしまいます。写真は、⼤学の正⾯⽞関前です。2017 年より⼤学の前までLuas(路⾯電⾞)が⾛るようになり、通学が便利になりました。

大学正面

 

田中 穂菜美
米国 マウントホリヨーク大学(生化学および心理学)

 

 マウントホリヨーク大学での生活も二年目に入りました。昨年は何をするのも初めてで、様々な出来事に対して驚いたり感動したりしていましたが、今年は二年目に入り、昨年よりも落ち着いて過ごすことが出来たように思います。

 学習面では、専攻を二つ決めたことが今学期のハイライトになります。決めた専攻は、生化学(Biochemistry)と心理学(Psychology)です。専攻をDeclare(宣言)したからと言って、何かが大きく変わるということはないのですが、これから卒業までに取るコースが大体決まり、自分の進みたい方向性が決まったことでやはりモチベーションも高まりました。取るコースも今学期は似た題材のものが多くなった印象です。心理学は今学期から専門的な心理学の分野を学び始め、異常心理学と脳・行動・免疫学の二つのコースを取りました。それに加えて神経科学と有機化学を取り、学んでいくうちに四つのコース全ての繋がりを感じました。例えば、異常心理学で学んだ精神障害の生物学的な原因をその授業内では深く触れられなかったけれど、神経科学の授業で同じ題材を生物学的な視点から扱い、より深く理解ができるようになりました。他にも、昨年に引き続き二つの合唱のコースを取りました。これまでは科学系、社会科学系、芸術系(音楽)のコースを主に取ってきましたが、せっかくリベラルアーツカレッジにいるので、来年度は人文学系のコースも取ってみたいです。また、来学期からは生化学の教授の実験室で働くことになりました。細胞死プログラムについての研究室です。初めての経験なので、緊張していますが、とても楽しみです。

 生活面では、日本語と化学のメンターを今学期から始めたことが一番大きい変化でした。マウントホリヨーク大学は大学院を持っていないので、どの科目も上級コースを履修している学生がチューターをしたり、宿題を教えたりするシステムがあります。私はもともと人に教えることがあまり好きでも得意でもなかったので、学期始めは毎回セッションの時間を迎えるのをストレスに感じていました。しかし、時間が経つにつれて、教えることにやりがいと面白さを感じるようになりました。また、セッションを重ねるごとに自分自身の成長も感じられました。

 乗馬も昨年からずっと続けていることの一つです。今学期は二回あった全米規模のトーナメントにもチームの初級レベル代表として出場させてもらいました。春に開催される全米大会で顔を合わせることになる選手たちと実際に同じリングの中で戦うことが出来て、とても良い経験になりました。勉強も、乗馬や合唱を含めた課外活動も、どちらも一生懸命に取り組める環境に身を置けることに大きな幸せを感じています。毎日がとても忙しいですが、決して長くはない四年間の大学生活が終わった時に「やり残したことはない」と思えるように、勉学も、それ以外の日々の活動も、これからも全力で取り組んでいきたいと考えています。

毎年恒例の伝統行事、マウンテンデーに友達と

毎年恒例の伝統行事、Mountain Dayに友人たちと撮ったもの。今年も皆で山を登り、頂上でアイスクリームを食べました。

乗馬後に友人と撮った写真です

乗馬後に友人と

川口 理沙
米国 サウスカロライナ大学(スポーツエンターテイメントマネージメント学部)

 

 私は半年で30単位を取得したため、半年で2年生に進級する事ができました。2年からキャンパス内の寮ではなく、外で学生用のアパートにアメリカ人のルームメイト3人と暮らす事になりました。学業もビジネス専門の教科になり、難易度も課題の多さも増え、忙しさに追われた秋学期でした。今回のレポートでは、CAPというプログラムと社交ダンスクラブのSecretary(秘書)としての活動について話させていただきます。

 2年生からは、CAP (Career Accelerator Program)という留学生対象の就職活動をサポートしてくれるプログラムに入りました。就活といえば、日本では3年から4年にかけてしますが、アメリカでは自分の将来のビジョンを明確しながら、就活をステップバイステップでしていきます。私は人と接するのが好きので、将来会社のHuman Resources (人事部)で働きたいと決心していました。人と接する事も好きですが、いろんなビジネスクラスを受け、マーケットリサーチのような分析する事や財政金融にも興味がある事に気付き、もっと慎重に将来の仕事を考えていきたいと思いました。CAPではこの専攻でいいのか、将来どのような産業で働きたいのかを深く考える機会になりました。

 英文の履歴書の書き方やLinkedIn(世界で4億人が使う、採用やネットワークに活かせるビジネスSNS)の登録、自己PRの仕方について学びました。アメリカでの就活は学歴よりも、大学の期間内でどのような経験をし、そこから何を学んだか、またどのような仕事やインターンシップをしていたのかが評価されます。私たち留学生は、ビザの関係で、校内以外アルバイトをしてはいけない事になっています。キャンパス内のアルバイトは限られ、また日本の学生は高校の間アルバイト経験をしていない人がほとんどです。就活でアメリカの学生とどのように差をつけるかが留学生にとって大学4年間での課題でもあり、困難でもあると思います。キャンパス内のアルバイトやアメリカの企業でのインターンシップよりも簡単にリーダーシップ経験ができるのが校内クラブで役職に就く事だと思います。

 私は社交ダンスクラブの選挙で、1年間Secretaryという役職に就く事になりました。部員にダンスを教えるだけではなく、部員をまとめ、運営をしていくのが役員の仕事です。また私の中ではこのクラブを改革するという目標がありました。私は日本で10年以上社交ダンスをしており、また競技選手として九州大会に出場した事があります。私以外、全ての部員が初心者なので、目標は社交ダンスの楽しみを皆に伝えつつ、クラブ全体の競技レベルを上げていく事です。

 練習時間の確保や効率を上げるためにレッスンの仕方を変え、プロの先生からのレッスンがより多く受けられるようにと、資金集めの活動をしました。

今年度初の競技会は、私たちのクラブが他の大学のクラブを招待し、キャンパス内で行いました。前年度以上にレベルの上がった競技会になりました。11月には、Triangle Open というアマチュアの大会にも出場し、賞をいただく事ができました。あと1学期、Secretaryとしての仕事がありますので、勉学と両立しながら、頑張っていきたいと思います。

社交ダンス部の皆と一緒に

社交ダンス部の友人と

2018年春

江頭 香蓮
アイルランド トリニティカレッジ ダブリン大学(経営学、経済学および社会学部)

 

 今年、一年間、大学の勉強以外にも、アーチェリー、ポロ競技、世界で美しい庭と評価を得た屋敷への友人との小旅行など、勉強の息抜きに様々な経験をすることができました。その中で、他大学の学生や学年を超えた交友関係を築くことが⼀番の収穫だと思います。このようにいきなり何かを得ることはないですが、小さな積み重ねで広げられた自分自身の活動範囲は孤独に感じた時、自信を取り戻す大切なものだと思います。

小中高12 年間を⼀貫校ですごした私にとって、大学進学後、いきなり世界が大きく広がり戸惑うことが多かったですが、そういう時に支えてくれる人を見つける力を養うことも勉強の⼀つだと思います。なかなか、自分自身の考えを柔軟にしていくことは難しいですが、時には厳しく、落ち込んでいるときは励ましてくれる友人が大学生活をより濃くしてくれます。

試験前は、図書館の開館前によく並びましたが、こんなに勉強に打ち込めるのも海外の大学に進学したからだと思います。既存の答えを出すのではなく、その過程に重点を置いているので、「なぜ」に応える力だけでなく、相⼿に伝える力、情報を集める力など勉強を通して多岐に渡るスキルを身につけることが出来ました。

ポロ競技の写真です

ポロ競技

植物学部の立派な藤の写真です

植物学部の立派な藤

世界で美しい庭に認定された邸の写真です

世界で美しい庭に認定された邸

田中 穂菜美
米国 マウントホリヨーク大学(生化学および心理学)

 

 長い長い冬が明け、やっと春が来たと思う暇もなくファイナル(期末試験)期間に突入し、夏休みに入ってしまいました。ついこの間入学したと思っていた大学での生活も、あっという間に半分が過ぎました。この二年間は長かったようで短く、このまま卒業でよいのかと問われれば、はっきりと答えを出すことは出来ませんが、一日一日を全力で過ごしてきたことは確かです。二年目を終えた学生たちのための伝統的なセレモニー、Ring and Roseが私の大学で毎年春に行われます。

 このセレモニーでは、Connection Classと呼ばれる、自分たちのちょうど50年前のクラス(わたしの場合はClass of 1970)の卒業生からクラスカラーのバラとリングを受け取ります。このセレモニーを機にこの二年を振り返ると、二年前の自分と比べてわたしは大きく変わったことに気がつきました。周りには世界中からの友人たち、乗馬チームの仲間たちは本当の姉妹と呼べるような仲で、切磋琢磨しながら共に勉強ができるクラスメイトや悩みがあれば親身になって相談に乗ってくれる教授とコーチたちに囲まれています。様々な分野の学問に触れ、目は世界中に向くようになりました。大自然の中で毎日いろいろなことを経験し、吸収し、成長しました。まだ学生生活の半分ですが、このような素晴らしい体験をさせていただけている環境に感謝の気持ちでいっぱいです。

 

【学習面】

 今学期は学習面で大きな変化はありませんでしたが、心理学のリサーチメソッドを履修したことをきっかけに心理学の研究にも興味を持つようになりました。このコースは講義とLabの二つで構成されており、講義で学んだ内容を活用してLabで実際にリサーチをするという内容でした。私は二人のクラスメイトと一緒に、人種と魅力の関係(The relationship between race and attraction)というテーマで研究を行いました。既存の論文から情報を集め、その情報を使って自分たちのテーマの仮説を立てて、実際に公衆からデータを集めました。その結果をもとに統計学的な分析をし、結論も含めた論文にまとめました。心理学専攻の必修科目という理由で履修をしたのですが、思っていたより興味深く、心理学リサーチの魅力に引き込まれてしまいました。一学期のコースだったので、期間内に終わるようなシンプルなテーマを設定しなければなりませんでしたが、将来的には心理学の教授とIndependent Studyという形で研究を続けることも、別のテーマでより深い研究を始めることも可能なので、興味のあるテーマを決めて挑戦してみたいと考えています。

 生化学の分野でも、今学期は研究室で脂肪体の組織改造についての研究を始めました。組織改造は怪我の傷や腫瘍の転移などにも関わっている現象で、それについてもっと解明していくことは将来の医療の発展につながります。私の研究チームは、その中でもショウジョウバエがさなぎから成虫になる際の脂肪体の組織改造に目を向けたテーマで研究を行っています。幼体から成虫になる際の脂肪体の組織改造はとても重要で、うまく機能していないと命を落としてしまいます。組織改造の異常を起こす遺伝子がたくさんあり、それぞれの遺伝子の第3染色体上の位置を突き止める作業を行いました。

 具体的には、組織改造異常を起こす遺伝子を持つハエと、既知の変異体の遺伝子を持つハエを交配し、その子孫がもつ変異体の種類の割合から染色体上の位置を絞り込むというものです。私たちはそのうちの一つの遺伝子の位置を計算しました。来学期からは他の遺伝子の位置を計算していく予定です。今学期は、研究の内容を理解したり、作業の仕方を習って覚えたりする時間が必要でしたが、来学期はその時間が短くなるので、より効率良く作業をすることができると思います。メンターの教授や研究室のメンバーと過ごす研究の時間はいつも和気藹々とした雰囲気で、とても良い環境の中で研究をすることが出来ています。

 

【生活面】

 今学期も先学期に引き続き、日本語と化学のメンターをしました。どちらの方も、学生に教えることに大きなやりがいを感じることができました。学期、年間を通して学生たちが成長する姿を見られ、一人一人の大きな成長に感動しました。また、自分の能力を使って、他の学生の役に立つこともでき、嬉しく思っています。来年度は何をするのか、まだ決まっていませんが、日本語のランゲージアシスタント、または有機化学の実験のTAをしようと考えています。どちらも今年度のポジションよりレベルが上ですが、今年度学んだことを役立てて努力します。

 乗馬は大学一年目から続けていますが、今年度はチームの中での自分の立ち位置が少しずつ変わっていることに気がつきました。昨年度は、乗馬を始めたばかりの右も左も分からない一年生でしたが、今年度は乗馬やチームに関する知識も少しずつ増え、新しく入ってきた一年生に様々なことを教えられる立場になりました。そして、学期末には幹部のポジションに立候補をし、選挙で選ばれ、来年度のチームのリーダーとして活動することになりました。乗馬についてはまだまだ勉強中なので、リーダーとしてチームメイトを導くことに不安もありますが、とても楽しみです。

 昨年に引き続いて乗馬の全米大会にチームの代表として出場させてもらえたことも、あたらしい一歩を踏み出す後押しとなりました。昨年と同様、全米大会の前の一ヶ月はほとんど毎日、朝一番の授業の前の早朝から練習をし、勉学の方も学期末の試験が近いことも重なって精神的にも身体的にも疲れ切ってしまうようなスケジュールでしたが、チームメイトと共通のゴールに向かって切磋琢磨する時間はとても充実していました。結果としては、チームで総合7位を取ることができました。他では決して味わえないような貴重な経験をさせていただいていることに感謝の気持ちでいっぱいです。チームで出会った友人は”Friends for life”と私のコーチはよく言いますが、本当にその通りだと思います。苦楽をともにしたチームメイトたちとの思い出は一生私の中で輝き続けると確信しています。

 

 今学期も勉学、生活、ともに充実した時間を過ごすことができました。残りの学生生活も2年となり、卒業や大学院進学のことについても考え始めなければならない時期になってきました。3年目は腰を少し落ち着けて、一日一日を大切に過ごしていきたいと思っています。

 

大学生活の半分の終了を祝うセレモニー、Ring and Roseでの来年のルームメイトたちとの一枚。Connection Class (ちょうど50年前の卒業生)からバラと指輪を受け取る伝統行事です。

大学生活の半分の終了を祝うセレモニー、Ring and Roseでの来年のルームメイトたちとの一枚。

Connection Class (ちょうど50年前の卒業生)からバラと指輪を受け取る伝統行事です。

朝日を見るRising Hikeにルームメイトと出かけたときの写真です

 

朝日を見るRising Hikeにルームメイトと出かけたときの一枚。

平等な世の中をつくるためのカンファレンスにて、友人との写真です

 

平等な世の中をつくるためのカンファレンスにて、友人との一枚。

川口 理沙
米国 サウスカロライナ大学(スポーツエンターテイメントマネージメント学部)

 

 大学2年の2学期目は、特に卒業後のキャリアを考え、専攻の選択と夏のインターンシップのアプライのため、慌ただしい学期でした。

 アメリカの大学に留学する際、University of South Carolina(以下USC)を選んだ1番の理由は、USCのInternational Business 学科が全米1位の学部であるからです。USCでは、Darla Moore School of Business とInternational Business(以下IB)学部の学生のレベルを保つために、USCに入学してから、2年の末に大学での成績とエッセイを提出し、再度アプライしないといけません。USCのIB学科は将来アメリカと他国をビジネスで繋げられるような人材を育成するために作られた学科です。IBを専攻すると、もう1つビジネスの中で学科を専攻し、英語以外の外国語をビジネスレベルまでにマスターし、1年または1学期アメリカ以外の国で留学をするというプログラムになっています。

 IBを専攻することは決めていましたが、もう1つの専攻をどれにするかという迷いがあったので、夏にインターンシップをすることを決心しました。Global Supply Chainという主に貿易や物流に特化した学科に興味があったので、西日本鉄道株式会社の国際物流事業本部で初の試みとして長期インターンシップをさせていただきました。そこでは、航空運送状、請求書の作成、通関業務、航空と海運の輸出入に携わりました。実際業務をした事と物流の世界の第1線で活躍されている社員さんのお話や海外NNRでの経験が生で聞けた事はこれから私のキャリア形成の糧になると思います。

西鉄でのインターンシップ

 また夏の間に、東京で三菱商事とデロイトトーマツコンサルティング合同会社の説明会に参加しました。デロイトでは説明会後にケーススタディーのコンペティションに参加し、チーム優勝することができました。今まで、外資系の企業に就職することやコンサルティングをキャリアの選択として考えていなかったので、貴重な機会になりました。

インターンシップ

 アメリカの大学の夏休みは3カ月以上あり、有意義に過ごすためには、早めの計画が必要だと思います。3年の1学期では商社3社の面接と、外資系企業の面接が決まっています。勉学を自分の目指しているキャリアと照らし合わせながら、取り組みたいと思っています。

2018年秋

江頭 香蓮
アイルランド トリニティカレッジ ダブリン大学(経営学、経済学および社会学部)

 勉強面以外においては、日本の農林水産省にあたるアイルランドの政府の管轄が行なっている”Irish Young Breeders Programme”と呼ばれる乗用馬育成プロジェクトに参加しました。ヨーロッパの馬術のレベルの高さは世界でもトップであり、特にアイルランドでは障害馬術、総合馬術を非常に得意としています。このような背景には、馬と人の生活が密接に関わりあってきたヨーロッパの歴史だけでなく、優秀な馬の品種の生産や保護を国自体が行ってきたという点が挙げられます。日本では、競走馬の生産などが北海道で盛んに行われていますが、一方、乗用馬はヨーロッパからの輸入に未だ依存していることも現状です。

 このプログラムでは、25歳までの若い馬術競技選手やまた、生産者を目指す人たちを対象としており、アイルランドの最前線で活躍する選手や生産者から直接話を聞けるという日本ではなかなか体験できることではありません。また、ヨーロッパの大学には馬に関する勉強を行う学問があるほどです。実際に、ダブリンから電車で一時間ほど離れたマラハイムという町にある、障害馬の生産を行うバリー・オーコナー氏の厩舎で行なわれた講義では、馬を購入するあたり重要な馬格の特徴や日々のトレーニング方法、そして充実した設備など、全てが目新しく興味深い経験となりました。

 また、世界遺産である北アイルランド(イギリス)のジャイアンツ・コーズウェイにも訪れました。首都のダブリンからバスで4時間かけ北上すると大自然が生み出した六角形の岩と広々とした海が圧巻でした。また、自然豊かなアイルランドは数々の有名な映画のロケ地としても使用されており、ジャイアンツ・コーズウェイの近くでは「ロード・オブ・ザ・リング」の撮影が行なわれた海岸などもあり、訪れた日はアイルランドでは珍しい快晴で対岸にはスコットランドを見ることが出来ました。 アイルランドは「ヨーロッパの片田舎」とよく表現されますが、電車で首都部から一時間ほど離れると広がる雄大な自然があるという点は福岡と似ていると思います。

アイルランドの景勝地 ジャイアントコーズウェイ

写真:ジャイアントコーズウェイ

アイリッシュヤングブリーダーズプログラムのメンバーと

写真:アイリッシュヤングブリーダーズ・プログラムの様子

 

 

田中 穂菜美
米国 マウントホリヨーク大学(生化学および心理学)

 あっという間に3年目に突入してしまった大学生活。勉学、生活面、文化、どれも大学で過ごす日数を重ねるうちに慣れてきましたが、毎学期何か新しいことを始める自分がいるので、入学してから5学期目の今学期も新鮮な日々を送ることができました。

 前学期末、一年生の頃から続けていた乗馬のチームのManagerというポジション(日本のマネージャーとは違い、どちらかというと部長に近いイメージ)に選ばれ、今学期から正式に活動を始めました。乗馬は大学で始めたので、他のメンバーと比べて乗馬に関する知識は豊富ではなかったのですが、キャプテンやコーチに助けられて無事に学期を終えることができました。覚悟はしていましたが、この役職につくことで、日々の練習や毎週末の大会に加えてたくさんの時間を費やすことになり、とても忙しい16週間でした。また、2年生の後半に始めた遺伝学の研究も、より主体的に携わる立場になり、研究室で過ごす時間も増えました。履修するコースも専門的なものが増え、内容も詳しく、難しくなりましたが、その分、学び甲斐のあるものばかりでした。

 夏休みにガーナで行なったインターンシップも私の将来の目標をはっきりさせ、今学期のモチベーションを保つ要因になりました。インターンシップの内容としては、最初の2ヶ月を日本で募金や啓発の活動をしたり、NPOに寄付する老眼鏡600個を集めたりし、その後5週間をガーナで現地の眼科医と一緒に医療活動をして過ごすというものでした。20万円を目標に行なったガーナへの募金活動は「すぐに集まるだろう」と甘く考えていた私の期待を裏切り、毎日のようにどこかのイベントに赴いてプレゼンテーションをさせていただき、寄付金を集めました。最終的にはたくさんの方に協力していただいて目標を達成し、行動を起こせば思いは通じるんだと改めて感じました。ガーナでの活動も人生の糧となる経験になりました。1日40人の白内障手術を無料でするドクターや、近くに病院のない村に出張して1日400人以上の患者さんを無料で診る眼科チームと一緒に働くうちに学んだものは想像以上でした。ガーナで過ごした5週間を通して、私は将来グローバル医療の改善に貢献できる職につきたいという思いが増し、学期中もたびたびこの経験を思い出しながら勉学に励みました。

 

【学習面】

 今学期は通常の4クラスを超えて7クラス履修したので、授業外の自由時間のほとんどを宿題や予習で費やし、夜遅くまで友人たちと勉強をして過ごす日々でしたが、履修したコースはどれも楽しく、とても実りのある学期となりました。

 学習面でのハイライトは、英文学を履修したことだと思います。これまでの二年間は理数系と社会科学をメインに受講しており、英文学を受講するのは初めてでした。分厚い本を何冊も早く、たくさん読むというようなコースを想像していたのですが、このコースの教授はその正反対で、それぞれの本にじっくり時間をかけて、細部に注意を払いながら丁寧に何度も読む、というスタイルでした。例えば、一段落に注目して、その中でどんな単語が繰り返されているのか、その繰り返しを使って筆者は何を伝えようとしているのか、隠れた意味はあるのか、など読み取り、話し合いました。そのおかげで、これまで知らなかった本の読み方を知り、批判的に読書をする力を身につけることができました。来学期は上級のアイルランド文学のコースを履修するつもりです。英文学入門よりもレベルが上で難しくなると思いますが、どんな学びがあるのか楽しみです。

 他には、生化学専攻のコースを三つと心理学のセミナーを受講しました。心理学のセミナーは、言語と認知についてで、言語の違いによる色、時間、動作、空間、数字などの認知の違いについて学びました。例えば、ロシア語には二種類の青があるので他の言語を話す人より青色の識別が早い、とか、数字のない言語を話す人は3以上の数の概念がない、とか、音調言語を話す人は絶対音感になりやすい、とかいうテーマに関する論文を賛否両面から読み、クラスで話し合いました。13人の小さなセミナーでしたが、それぞれが話せる言語を合わせると8言語もあって、それぞれの経験を交えながらディスカッションをするのが楽しく、多くの学びがありました。日本語もたびたびトピックに登場し、これまで考えたこともなかった日本語の側面を知り、考えることができました。

 来学期はメディカルスクール進学に必要な共通テストを受験する予定なので、授業の合間を縫って受験勉強をすることになります。授業数は抑えたつもりですが、それでも平均よりは多いので、今学期よりも忙しくなると思いますが、メリハリをつけて楽しい日々を送りたいと思っています。

乗馬大会でチームメイトとの写真

写真:乗馬大会でチームメイトと

大学行事で、友人とクラスカラーの青を着ている写真

写真:大学行事にて、友人とクラスカラーの青を着て

ポスター研究発表会にて、グループのメンバーとの写真

写真:ポスター研究発表会にて、グループのメンバーと

乗馬クラブのキャプテン、副部長と一緒に写っている写真

写真:乗馬クラブのキャプテン、副部長と

川口 理沙
米国 サウスカロライナ大学(インターナショナルビジネス、マーケティング)

 今回のレポートではアメリカ大学生の仕事(アルバイト)についてお話ししたいと思います。私達留学生はビザの決まりで、学校外で働く事はできませんが、キャンパス内でアルバイトをする事を許可されています。大学3年1学期が始まる前に、Orientation Leader(オリエンテーションリーダー)の仕事とPeer Consultant (コンサルタント)の仕事のオファーを頂きました。どちらも時給制で、1時間10ドルです。

 オリエンテーションリーダーの仕事は正規留学する新入生を歓迎し、アメリカとUSCの環境に慣れるために生徒を手助けする仕事です。オリエンテーションは学期が始まる前で、2週間に渡って行われます。今年は世界各国から182人の新入生を迎え、私が担当したグループはサウジアラビアと中国からの留学生でした。初め、新入生は旅の疲れやこれからの学校生活に対して不安が多く見られ、心を開いてくれない生徒もいました。しかし2週間の間、毎日やりとりしていくうちに彼らの不安が希望に変わっていきました。今でもキャンパス内でお世話した新入生達に会うと、挨拶してくれたり、ご飯を一緒に食べに行ったりします。このような縦の繋がりができて、私の学校生活はより華やかになったと思います。春学期も再度オリエンテーションリーダーに選ばれたので、新入生との新しい出会いが楽しみです。

オリエンテーション1日目。担当した新入生と

(写真:オリエンテーション1日目)

 

 今学期はコンサルタントとして週13時間働きました。主な仕事はUSCの学生(現地の学生、留学生どちらも含む)と1対1で1時間の面談をし、学生の学業の問題点に対して話し合い、的確なアドバイスをします。 時には自分の問題点がわからないような学生がコンサルテーションに来たりします。その時は、学生のGPA(成績)の計算や卒業までの単位計算、現在の成績、授業態度など全体的なデータを見て、お互いが納得いくようなアカデミックの計画を立てていきます。1番やりがいを感じる時は、面談が終わった時に学生から「本当にここに来てよかった」と感謝を告げられる時です。私は将来ビジネスコンサルタントになり、クライアントそれぞれにユニークなビジネスプランを提供する事が夢です。この仕事を通じて、課題を素早く把握し、解決策を導く力と責任感を身につける事ができ、コンサルタントになる夢へ一歩近づいていると思います。

 

 

 

 今学期のもう1つのハイライトは2年ほど続いたCAP(Career Accelerator Program)を卒業した事です。このプログラムは留学生対象にアメリカでの就職活動をサポートしていくもので、毎週課題が出され、とてもストイックなプログラムでした。私は卒業後、日本で就職したいと思っていますが、CAPで得たネットワーク、自己分析や自己アピールの仕方、将来プラン形成、それから夢に向かって共に頑張れる仲間ができた事は一生忘れません。今学期から就職活動が本格的に始まり、サンフランシスコとボストン、それからニューヨークに3回ほど、面接で行きました。2019年の夏には株式会社リクルートでの長期インターンシップが決定し、他に商社と外資系企業の面接も引き続き努めていきます。

2年間ともにプログラムで頑張ってきた仲間と

(写真:2年間共にCAPを頑張ってきた仲間)

 

 

2019年春

江頭 香蓮
アイルランド トリニティカレッジ ダブリン大学(経営学、経済学および社会学部)

 

 今学年の後期は特に、講演会などに参加するだけでなく、さまざまな学生と交流できるイベントに意識して参加する回数を増やしました。具体的に、日本に興味を持つ学生が集まる「Japanese Society」や外交問題を議論する「SOFIA」という団体が催す、アイルランドに駐在する各国の大使を招いたディナーパーティなどに参加しました。このような普段接することのない、他の学部、また修士課程の学生と学年を超えて、社交的な場でディスカッションを行う機会があるということはオープンに、そして自分の興味を広げるために、非常に良い環境であったと思います。たとえば、起業に興味があり、自分のアイディアを話しても、その考えを肯定的に捉えて、学生起業家として活躍する人からアドバイスやエキスパートに繋いでくれる人にも出会えます。そして、学生を相手にも、質問に真剣に答えてくださる各国の大使の方々とお話しできる機会がある私の大学は少し特殊な環境のような気もしますが、その伝統的な社交場に参加することはトリニティカレッジにいるからこそできることではないのかなと誇りに思い、今回参加しました。

 また、アイルランドは日本人には少し馴染みのない国かもしれませんが、東京オリンピックが翌年に控え、アイルランドがその期間、拠点を置く静岡県の関係者の方が訪問した際に、馬術というスポーツに携わっているということで、校内の案内を代表して行ったとき、やはり、自分が現在、拠点とする2つの両国が結びつき、このように発展していく活動は素晴らしいと感じました。留学し、ある一定期間経つとこのように、日本以外に「帰る」場所がもう一つできたような気持ちにもなります。これもきっと留学をしたから気づけたことですね。

SOFIAによる各国の大使とのディナーの様子(大学のダイニングホール、食堂)の写真です

SOFIAによる各国の大使とのディナーの様子(大学のダイニングホール、食堂)

オランダ大使と日本アイルランド大使館の方達と一緒に写っている写真です

オランダ大使と日本アイルランド大使館の方達と同じテーブルでディナーを楽しみました

夜の大学構内の写真です

夜の大学構内

 

田中 穂菜美
米国 マウントホリヨーク大学(生化学および心理学)

 

 マウントホリヨーク大学に入学してから早くも3年が経ちました。4年間の大学生活も残すところ一年となってしまったのが信じられません。今学期はこれまでと比べて少し余裕を持たせてスケジュールを組んだつもりだったのですが、各コースのレベルが上がったこともあり、今学期も忙しく盛りだくさんのセメスターになりました。

 学習面では、認知心理学とアイルランド文学が最も興味深かったです。認知心理学は主に脳についての学問で、これまでに学んだことのある神経科学と重なるところもあったのですが、新しい学びもたくさんあり、とても面白かったです。特に、教授が専門で研究をされている脳の可塑性についての分野がとても興味深く、教授のオフィスで詳しく教えてもらったり、語り合ったりしました。アイルランド文学は、先学期履修した英文学を教えてくださった教授がとても好きで、ちょうど授業のテーマも好きだったので、取ることに決めました。もともとは、pre-medの必修で英文学が2セメスター分必要だったために英文学とアイルランド文学を取ったのですが、この教授の文学クラスはとても面白くて、理数系のクラスだけでは絶対に学べなかったことをたくさん学ぶことができたので、履修して本当に良かったと感じています。それでも、英文学専攻の学生しか取らないようなレベルのクラスだったので、読む量も多く、ディスカッションや課題エッセーのテーマも、もはや文学なのか哲学なのか分からないような内容で大変でしたが、そんな経験も理数系の授業だけではなかなか味わえなかったと思います。

 また、遺伝の研究も、始めてもう二年目になります。これまで一緒に研究をしていた二人の学生は今年卒業で、来学期からは私と新メンバー二人で研究をすることになります。研究をしていれば当たり前ですが、結果が予想通りにいかないことや、トラブルがあってなかなか前に進めないこともたくさんあり、教授とミーティングを重ねてプロジェクトを進めました。来学期からはこのプロジェクトをテーマに卒業論文を書く予定なので、引き続き頑張っていきたいです。

 課外活動としては、今学期も乗馬と合唱を続けました。乗馬では、今年は個人で全米大会に出場することができました。昨年まで2年間出場したチーム代表とは違って、個人出場は本当に個人の努力によって決まるので、地区大会、支部大会で勝ち残って、全米大会への出場が決まった時には本当に驚きました。全米大会は今年も期末試験の週と重なっていて、早朝の練習に加えてテスト勉強をするのはとても大変でしたが、チームメイトやコーチに恵まれた環境であまりストレスなく過ごすことができました。結果は、6位入賞で、少し悔しい思いも残りましたが、とても良い経験になりました。先学期から任されているマネージャーのポジションにも慣れてきて、スムーズに仕事ができるようになってきました。リーダーシップスキルに加えて、部員40人全員の情報を管理したり、学校と連絡を取り合ったりする能力も身についてきたと感じています。仕事量は多く、大変なことも多いですが、とてもやりがいを感じられる仕事で、来年もマネージャーを続けることになりました。

 夏休みは、がん研究で世界をリードするテキサス州・ヒューストンのMD Anderson Cancer Centerで2ヶ月半、肝臓ガンの研究をすることになりました。がん研究において全米一のこの病院で研究をするのが夢だったので、インターンが決まった時はとても嬉しかったです。最終学年を迎える日が少しずつ近づいてくるにつれて、卒業後の進路についていよいよ本格的に考えなければ、という思いに駆られてきています。このインターンでの経験も、私の将来のキャリアを考える上で大切な材料となると思うので、研究を楽しみつつ、様々なことをしっかりと吸収してきたいと思っています。

キャンパス内で撮った写真です

キャンパス内で撮った一枚。とても歴史あるキャンパスで、よくハリーポッターのホグワーツに似ていると言われます。

雪が降り積もったキャンパスで友人と一緒に写っている写真です

友人との一枚。冬は寒さが厳しいですが、雪が降り積もったキャンパスはとても美しいです。

カナダ・モントリオールのノートルダム大聖堂の写真です

短期休暇を利用して訪れたカナダ・モントリオールのノートルダム大聖堂。

春、キャンパスで撮った写真です

春になるとキャンパスは緑にあふれ、色とりどりの花が咲きます。

川口 理沙
米国 サウスカロライナ大学(インターナショナルビジネス、マーケティング)

 今回のレポートでは大学の社交ダンスクラブCarolina Ballroom のVice President (副部長)の活動についてお話ししたいと思います。大学4年はクラブの運営をこれから支えていく後輩に受け継いてもらいたいと思い、後輩に引き継ぐ前に多くの新しい試みや企画をし、できるだけクラブをグレードアップできるように精進しました。

 初めに取り組んだ事はクラブTシャツ作成でした。クラブ内の意見のまとめ、デザインの作成、そして業者とのネゴシエーションを全て担当しました。実はこのTシャツはクラブの資金集めの一環で、低コストで作ったTシャツを販売価格で部員や家族に購入してもらい、その差額がクラブの活動費に充てられます。その中でも業者選びが最も難しく、アンダーアーマーやアディダスなど有名ブランドに依頼する予定でしたが、コストやbreak even point (損益分岐点)など考慮に入れた結果、ノンブランドのものになりました。部員達はTシャツを喜んでくれて、クラブへの資金は前年よりも多く収集する事が出来ました。

クラブTシャツを着た部員との集合写真で正面を向いています  クラブTシャツを着た部員との集合写真で、後ろ向いて背中のイラストが見えるようにしています

写真:クラブTシャツを着た部員との集合写真

 

 次に取り込んだ事は地元コミュニティーとの活動を多くする事でした。中で最も有意義だったのがクラブで参加したRelay for Lifeです。リレーフォーライフはアメリカ対癌協会が主催する癌患者やその家族を支援し、地域全体で癌と向き合い、癌征圧を目指すチャリティ活動です。夜通し歩くリレーイベントは午後5時から始まり翌日の午前5時までの12時間です。深夜0時を過ぎると、風は冷たくなり眠気も出てきます。それは癌患者が治療を受けている苦しい時を現します。それを絶えぬき、日の出を見た時は希望の朝日と言われ、患者が癌を克服した時を現し、みんなでその喜びを分かち合います。12時間の間、癌と戦っている方や遺族の方の話を聞く機会もありましたが、皆と騒いで踊たりするイベントもあって、楽しいイベントでした。私と部長は光栄な事に開会式後の最初のイベントとしてステージでミニラテンダンスレッスンをし、募金を集めました。最終的には、私の大学University of South CarolinaでUSD 179,000を募金で集める事が出来ました。癌や生死に関する事を深く考える機会がなかった私にとっては徹夜をしての12時間は有意義な時間になりました。日本でも2006年からリレーフォーライフの活動が行われているようで、このような希望に繋がるイベントが国内にもっと増え、社会の癌に対する認識を変えていくようになる事を願います。

 

 学期末に1番力を入れたイベントがダンス発表会でした。私たちのクラブは競技会で踊る事がほとんどで、ショーダンスをした経験がありません。しかし、私は入部当初からクラブの知名度を上げたいという思いがあり 、校内でショーダンスを皆の前でするのが夢でした。今回はヒップホップダンス部とジャズダンス部と共に発表会を開催し、振り付けは私が担当し部員と協力しあって発表会を成功させる事が出来ました。

  発表会に出演した部員との写真です

  発表会でダンスをしている写真です

  写真:発表会の様子

 

 現在夏休みの期間を利用して、株式会社リクルートライフスタイル、ネットビジネス本部・ビューティ事業ユニット・プランニンググループで2カ月の長期インターンシップをさせて頂いています。次回のレポートで、インターンシップでどのようなプロジェクトに関わったかなどお話できたらと思います。

2019年秋

江頭 香蓮
アイルランド トリニティカレッジ ダブリン大学(経営学、経済学および社会学部)

 

 学問以外では、アイルランドから出て、ヨーロッパの他の国々を見てみようということを今学期の一つの目的としていたので、休みを利用して、クロアチア、オーストリア、イタリアの3カ国を旅行してきました。EU圏の飛行機の移動は、日本でいう国内線のようなもので、日本のパスポートであれば自由、かつリーズナブルな料金で行き来することが可能です。また、Erasmus制度を利用する学生が多くいることから、ヨーロッパの航空会社では学生料金を提供している一部の会社もあります。日本からヨーロッパへの渡航に比べると、今、アイルランドに住んでいるからこそ出来る経験だと思います。

 クロアチアでは、長年、訪れたいと思っていたプリトヴィッチェ湖群国立公園へ現地で知り合った、シンガポール人の医師と看護師の人と一緒に訪れました。クロアチアは比較的にヨーロッパでは治安の良い国と言われていますが、郊外を出れば、1995年ごろまで続いた紛争の生々しい跡が残る、自然の美しさと紛争の傷跡の両方が残る地とも言えます。もちろん、日本でも平和学習を通して、第二次世界大戦の恐ろしさを原爆記念館などで学ぶ機会がありましたが、クロアチアで見た銃痕で蜂の巣状態になった家の隣に建つ新しい家といった、現在も戦争の歴史と共に日常生活を送る人々の様子には胸が締め付けられるような思いになりました。

クロアチアのプリトヴィッチェ湖群国立公園での写真

写真:クロアチアのプリトヴィッチェ湖群国立公園にて

 

  変わってオーストリアは、音楽、ハプスブルク家などといった文化、歴史にあふれる国で非常に街並みが美しく、治安の良さに驚きました。特にウィーンにあるスペイン乗馬学校は馬場馬術を専門とする乗馬学校で、同じく馬場馬術を行う私にとっては夢のような場所でした。「オーストリアなのに、なぜスペイン?」と疑問に思うかもしれませんが、ここで調教されているリピッツァナーというスペイン原産の流れをくむ種を交配した馬を使用したことから始まります。ヨーロッパに比べると、日本では人と馬の深い歴史はあまりありませんが、アイルランドだけに限らず、ヨーロッパの一部の国々では文化の中に深く馬が関係しています。

オーストリアのスペイン乗馬学校の馬の様子

写真:オーストリアのスペイン乗馬学校

 

  また、イタリアではローマ、ヴァチカンを訪れました。街並みから溢れる歴史の深さだけでなく、その文化を積み重ねてきた人々の偉大さ、そして宗教というものが社会というコミュニティに与える影響力などを知ることができる街だったと思います。

イタリアの建築物の写真

写真:イタリアにて

田中 穂菜美
米国 マウントホリヨーク大学(生化学および心理学)

 

 マウントホリヨーク大学での生活も、早いものでもう最終学年に入りました。今年は、何をするにも「ああ、これが大学でする最後の◯◯なんだ」と感慨深くなることがよくありました。例えば、毎年恒例の学校行事や、一秒の差で運命が決まる毎学期の履修選択。どれを取っても思い出の深いものです。しかし、不思議と、後悔や何かをやり残したという気持ちは全くなく、あとは卒業に向けてまっすぐ進むのみだと考えています。そう思えるのはきっと、マウントホリヨークで三年間、本当に自由に、やりたいことは全て全力でやってきた、そして、そんな私を応援しサポートしてくれる環境がアメリカにも日本にもあったおかげです。

 最終学年ではありますが、まだまだ知らない世界は広く、今学期もまた新たな挑戦をする機会がありました。例えば、四ヶ月近くある夏休暇を利用したインターンシップ。これまでの夏休みは、日本、カンボジア、ガーナと海外で過ごしてきたのですが、今回は数年前からの夢であった、ガンの研究において世界一の研究施設でインターンをさせてもらえることとなり、初めてアメリカに残って夏を過ごしました。もちろん、がん研究で世界をリードするだけあって、求められるレベルが高い上に研究のペースが早く、苦労することも多くありましたが、教授やメンターのご指導の下、中身の濃い時間を過ごし、また、自分の研究への情熱を再確認することができました。

MD Anderson Cancer Centerの看板の前での写真

写真:夏はMD Anderson Cancer Centerで肝臓ガンの研究をしていました。

 

 学習面では、Medical Anthropology(メディカル人類学)が最も印象に残っています。アメリカ国内や世界で起こっている健康問題や病気を人類学的な視点から批判的に考察する、というものです。医者や薬による治療がすでに起こってしまった現象(病気)に対する、川の流れに例えるなら「下流」的措置であるとすれば、メディカル人類学は、健康問題の原因を政治的な力や資本主義の中に見出し、問題の根本=川の「上流」に措置を施します。例えば、米アリゾナ州に、住民の大半が糖尿病に疾患しているネイティブアメリカンの地域がありました。住民の大半が糖尿病にかかっているのならば、糖尿病へのリスクが高まる遺伝子が見つかるに違いない、と多くの医師や研究者が集まりましたが、実際の原因は、白人の侵略により地域を潤していた川がダムで止められ、地元の経済を支えていた農業を行うことができなくなったことによって生じた貧困でした。それまで自分たちで生産していた作物が取れなくなった上に、健康に良い食べ物を買うお金もなく、糖分や脂肪の多いファストフードを多く口にすることになったため、糖尿病の患者が激増したのでした。その背景には、少しでも利益を増やそうという資本主義の考えがあります。現代社会に生きる私たちは「Science」に真実を求めてしまうことが多いですが、一歩引いて違う視点から物事を見ると、より大きな枠組みが見えてくるのだと学びました。

年度始めの大学行事でのコーラスの様子

写真:年度始めの大学行事では、コーラスのメンバーとして歌のパフォーマンスをしました。四年生だけはクラスカラーに加えて卒業ガウンを着ています。

 

 生活面では、今学期も乗馬に合唱に、毎日が忙しく充実した日々でした。来学期はいよいよ最後です。五月には卒業論文も医学大学院の共通テストMCATの受験も終わり、二年間続けてきたマネージャーのポジションも次の人に引き継ぎ、大学最後の乗馬の試合もファイナル(期末試験)も全てが終わっているのだと思うと信じられません。四年間を共に歩んできた友人たちと過ごせる時間も残るところ数ヶ月となりました。卒業まで、友人と過ごす時間や自分自身と向き合う時間も取りながら、一日一日を大切に過ごしたいと思います。

Mountain Dayでの集合写真

写真:恒例の伝統行事、Mountain Dayで乗馬のチームメイトたちと。Mountain Dayがいつなのかは学長が決めますが、その日になるまで学生も教授たちも知らされず、当日は授業が全て休講になります。

川口 理沙
米国 サウスカロライナ大学(インターナショナルビジネス、マーケティング)

 

 来学期は提携校である复旦大学に留学するため、私はアメリカサウスカロライナ大学のキャンパスで過ごす最後の今学期に目標を2つ掲げました。1つ目が就職するまでに学業に励み、ビジネス社会でも通用するよう自分自身のレベルアップをすることです。2つ目が留学生の一員として後輩にインスパイアする存在でいることです。

 今学期が始まる前の夏休みの期間を利用して、株式会社リクルートライフスタイル、ネットビジネス本部・ビューティ事業ユニット・プランニンググループで2カ月の長期インターンシップをさせて頂きました。そこでは新規事業であるアプリの開発・改良とそのマーケティングに携わりました。新しいサービスのため、どのような人たちがサービスのコミュニティにふさわしいのか、コミュニティはどんなサービスを求めているのかを一から見極めていくのに苦戦しました。大学の講義で学んだフレームワークを用いて競合分析と市場分析、自社の立ち位置や商品・サービスの戦略を分析・構築しました。それからユーザーを対象にしたフォーカスグループや内部調査や外部調査などしました。最終的には仮説検証をし、サービス向上のために3つの改善案を立案し、実行に向けての計画プランを発表しました。大学卒業する前に、ビジネス講義で学んだことを実際にあるサービスに生かす機会ができました。実際にビジネスに携わって、知識にとらわれず、世界の最新の流れに目を向け、柔軟に物事を考えられるような人材をビジネス社会で必要としているのではないかとも気づきました。

新規事業をピーアールするイベントにて

写真:インターンの集大成である新規事業サービスをPRするイベントにて

 

 1つ目の目標で掲げた「ビジネス社会でも通用するように自分自身のレベルアップをする」を達成するために、マーケティング学部上位12人で構成されるMarketing Scholars の一員になりました。そこではグローバルフォーチュン100社である国際物流の企業(FedEx)に対し、事業と市場、顧客のリサーチを行い、新しい企画案とマーケティング案を本部に提案しました。中小企業がより積極的に海外発送でFedExを使って頂けるように、中小企業の海外発送における不安や問題点を探し出すために700社に対してアンケートを実施しました。またアンケートでは広告用にどのようなメッセージが伝わりやすいのか、私たちが作り出した12のマーケティング案に対してどのマーケティング案が好ましいのかを調べました。学期中にはFedEx本部と3度打ち合わせし、どのような戦略が会社に合っていて、どのような新作案がFedExにとって実現可能なのかを話し合いし、試行錯誤してきました。最終報告会を終えてFedEx本部は私たちが行った調査と提案した施策案に大変満足し、実現に向けて案を進めているようです。

 このようにインターンシップやMarketing Scholarsを通じて、ビジネス講義で学んだことを自分ならどのように活用していうかを常に考えながら、学びを深めていきました。

 次に「後輩のためにインスパイアする存在でいること」ですが、私が専攻しているインターナショナルビジネス学部は、全米1位のプログラムということもあり、この学部のためにサウスカロライナ大学に進学を決めた海外留学生が多くいます。ほどんどの学生がGPA4.0ありますが、ダブル専攻(majorを2つ)と副専攻の外国語、そして1学期間海外留学することを条件としているこのプログラムに入ることは留学生にとって難しく、私はこの学部を希望する後輩から多くの相談をされます。今学期はサウスカロライナ大学でのキャンパスにいる最後の学期でもあったため、選考プロセスのサポートとそのアドバイスを多くの後輩にしました。

 私は学部での努力や業績が認められ、大学のホームページではインターナショナル学部の学生代表として紹介されています。

取材を受けた時の写真

写真:学校ホームページの取材にて

 

 また2019夏と2020冬に引き続き、オリエンテーションリーダーとして海外留学生のオリエンテーションの運営の手伝いと新入生の歓迎をしました。今回のオリエンターションは私にとって3回目になるので、一般的な業務に加えて、オリエンターションリーダーのトレーニングも担当しました。毎回オリエンターションでいろんな国からの新入生に出会い、縦の繋がりができて、私の学校生活がより華やかになりました。

 2020年春学期からは中国上海の复旦大学に留学する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により留学が2020年秋学期に延期になりました。大学の最後の学期は中国で過ごすことになります。次回のレポートでは上海留学のことをお話しできたらと思います。

新入生オリエンテーションでの集合写真

写真:新入生のオリエンテーションにて

2020年春

江頭 香蓮
アイルランド トリニティカレッジ ダブリン大学(経営学、経済学および社会学部)

 日本の高校を卒業して、海外の大学に進学するという決断は辛くも、大変充実した時間を過ごせました。アイルランドに渡航する前は、異なる環境に挑戦することで自然と新たな価値観が身につくと漠然と考えていましたが、大学での生活を通して、受動的な態度から失敗を恐れず挑戦する大切さを学びました。例えば、日本にいた頃の私は「〜であるべき」と常に何かと理由をつけて、「正しい解」だけを見つけ出すことに必死でした。しかし、言語も文化も違う国で今まで日本で「正解」とされていたことがアイルランドでは「不正解」だったり、「解」というものは一つだけではないということを何度も思い知る経験をしました。また、大学で学んだビジネスの内容を好きな馬術と結びつけて、日本にヨーロッパの馬具を輸出するプロジェクトなどを立ち上げました。自身でアイルランド、イギリスの馬具メーカーに企画を持ちかけ、最終的にはオリジナルの製品を作成し、日本へ販売なども行い、この成功した体験から今後、継続して取り組みたい目標を見つける事もできました。

 アイルランドは日本に馴染みがない国ですが、音楽や文学など非常に芸術にも秀でた国です。そして、週末などに友人たちと少し郊外に出かけ、自然の美しさに心を癒されました。海外で過ごした生活では、乗り越えなければならない壁に向き合う事も多かったですが、この静かな環境の中で、「誰かの理想像になる」のではなく、自分の意志を信じられるようになったことが一番の成長だと感じます。

アイルランド国立競走馬生産牧場に訪問した際の写真。競馬の盛んな日本とも深い繋がりがあります。

写真:アイルランド国立競走馬生産牧場に訪問した際の写真。競馬の盛んな日本とも深い繋がりがあります。

 

アイルランドの最南端。スターウォーズの撮影地としても有名です。

写真:アイルランドの最南端。スターウォーズの撮影地としても有名です。

 

長閑な田園風景。曇天がアイルランドらしい天気です。

写真:長閑な田園風景。曇天がアイルランドらしい天気です。

 

羊の毛についている色は、羊を見分ける為に各牧場がつけたオリジナルのマークです。

写真:羊の毛についている色は、羊を見分ける為に各牧場がつけたオリジナルのマークです。

田中 穂菜美
米国 マウントホリヨーク大学(生化学および心理学)

 長いようで短かった四年間の大学生活がついに終わりました。5月に卒業の日を日本で迎えようとは、入学した四年前も、最後の冬休みを終えてアメリカに戻った半年前も、夢にも思っていませんでした。「友人たちと同じ屋根の下で暮らし、一緒に授業を受けたり、図書館で勉強したり、食事をしたりできるのもあと数ヶ月。卒業まで、一日一日を大切に過ごそう。」そんな思いとともに始まった最終学期でしたが、学期途中のある日、その「あと数ヶ月」が「あと数日」になってしまいました。春休みまであと5日、というところで新型コロナウイルスのために授業はオンラインに移行するので、学生は一週間以内に大学から出るように、とのお達しが来たのです。あまりの突然さに始めは戸惑いましたが、悲しんでいる時間はない!と、学生が主体となって卒業までの3ヶ月分の行事を4日間にぎゅっと詰め込み、結果的にはとても濃い時間となりました。突然に終わってしまったアメリカでの大学生活でしたが、振り返っても心残りは全くありません。四年間、好きなことはとことんし、やってみたいことは何にでも挑戦し、新しい学問にもたくさん出会い、これ以上ないほど大学生活を満喫しました。専攻の生化学、心理学、認知神経科学はもちろん、他にも英文学、人類学、哲学、音楽、物理学、歴史、地質学など、四年間で数多くの学問に触れ、新しい分野に足を踏み入れるたびに自分の視野が広がっていくのを実感できました。また、生活面でも、国籍、ジェンダー、経済的背景など様々な面で多様性豊かなマウントホリヨークで多くの人と出会ったことで、考え方や社会の見え方が変わりました。そんな環境で大学四年間を過ごすことができ、感謝の気持ちでいっぱいです。

大学を出る前日に撮ったルームメイトたちとの一枚。

写真:大学を出る前日に撮ったルームメイトたちとの一枚。

 

 また、今学期の学習面でのハイライトは卒業論文の執筆だったと思います。アメリカでは卒業論文は絶対ではなく、書きたい人が書くというスタイルなので、通常の授業も変わらず取りつつ、今年はそれに卒業論文を加えるという形でした。プロジェクトの内容は二年生の頃から続けていたもので、12月までに実験やデータ収集は終えていたので、今学期は書くことに専念できました。卒業論文はとても大変だと聞いていましたが、実際に書き始めると、文献を調べたり実験結果を考察したりするのが思っていたよりも楽しく、あまりストレスなく終えることができました。論文を書き終えた後の論文審査は通常、委員の教授たちと大学の一室で行うのですが、今年は学生も教授たちもそれぞれの家からオンラインでの参加でした。とてもユニークな体験ができたのではないかと思います。最終的には、High Honorという名誉をいただくこともでき、5セメスター分の研究を論文という形で残すことができて嬉しいです。

研究室のメンバーと教授と一緒の写真

写真:研究室のメンバーと教授と。

 

 生活面では、大学生活最後の学期なので、課外活動も全力で取り組みました。一年生のころから続けていた二つの合唱グループの活動は毎週本当に楽しみにしていて、どんなに忙しく疲れていても、夜10時に歌の練習から帰る時には心身ともにリフレッシュされていました。3月以降は顔を合わせて一緒に歌うことはできなくなりましたが、卒業式で流す校歌をバーチャルで合わせることになり、実際に出来上がった動画を見た時には、海や大陸を越えた音楽の力を感じました。同じく四年間所属していた乗馬のチームも、毎週ミーティングをしていた同じ時間にオンラインでミーティングを行い、場所や時差に左右されず繋がっていられるチームの団結力に感動しました。この四年間を振り返ってみると、どんな時にも隣には誰かがいて、その瞬間を共有していました。そんな時を共にした人たちとのつながりはオンラインになっても変わることはなく、卒業した今も、これからも続いていく関係なのだろうと思います。そう思うと、この四年間の留学で得た財産はアカデミックなものだけではなく、人との関わりや日々の活動も私の成長につながっていた気がします。大学生活は終わりましたが、パンデミックが収まったら、卒業式を大学で行うとのことなので、また近いうちに母校に戻って友人や教授たちに会うのを楽しみにしています。

皆様のご意見をお聞かせください。

お求めの情報が分かりやすく十分に掲載されていましたか?
このページの情報は見つけやすかったですか?

※個人情報を含む内容は記入しないでください。
※お答えが必要なお問い合わせは、上の「このページに関するお問い合わせ先」からお問い合わせください。
※いただいたご意見は、より分かりやすく役に立つホームページとするために参考にさせていただきますのでご協力をお願いします。
※ホームページ全体に関するお問い合わせは、まで、お問い合わせください。