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第7次総量削減(瀬戸内海)
第7次総量削減について
現行の第6次水質総量削減における総量削減基本方針は、平成18年11月に策定され、平成21年度を目標年度として、東京湾、伊勢湾及び大阪湾については水環境改善を目途に負荷削減等各種対策を推進する、また、瀬戸内海における環境基準の達成状況等から、大阪湾を除く瀬戸内海については、水質が悪化しないように各種施策を継続することとされました。
第6次水質総量削減の目標年度が平成21年度であったことから、平成21年2月から中央環境審議会水環境部会総量削減専門委員会において、第7次水質総量削減の在り方について審議が行われ、同委員会の報告内容をもって、平成22年3月に「第7次水質総量削減の在り方について」の中央環境審議会答申が行われました。
また、平成23年1月には「水質に係る化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量の総量規制基準の設定方法について」の中央環境審議会答申が行われました。
○ 「第7次水質総量削減の在り方について」(中央環境審議会答申)
- 瀬戸内海(大阪湾を除く)については、次のとおり。
(1) 水域改善の必要性
大阪湾を除く瀬戸内海の水質は、他の指定水域に比較して良好な状態であり、現在の水質が悪化しないように必要な対策を講じつつ、目標とすべき適切な水質を検討することが妥当であると考えられる。
(2) 対策の在り方
大阪湾を除く瀬戸内海については、生活排水対策を進めるととともに、従来の工場・事業場の排水対策等、各種施策を継続して実施していく必要がある。
○ 「水質に係る化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量の総量規制基準の
設定方法について」(中央環境審議会答申)
- 瀬戸内海(大阪湾を除く)については、次のとおり。
C値の範囲は第6次のままとし、変更は行わない。
これを受け、環境省は、平成23年3月に「水質に係る化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」を告示し、平成23年6月に第7次水質総量削減に係る「総量削減基本方針」を策定しました。
化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画について
1 総量削減計画の概要
1 位置付け
水質汚濁防止法第4条の3に基づく「総量削減計画」は、関係各都府県が、総量削減基本方針で都府県別に定められた汚濁負荷量の削減目標量を達成するために、講じる施策について定めるものです。
総量削減基本方針が指定地域の全体的な方針であるのに対して、総量削減計画は総量を削減するための具体的な計画です。
2 策定方針
総量削減基本方針(瀬戸内海)において、福岡県は、目標年度(平成26年度)において、第6次総量削減における削減目標量(目標年度:平成21年度)を維持することとされていることから、第6次総量削減計画の施策を継続して行うこととします。
3 目標年度
平成26年度
4 発生源別の削減目標量
COD |
生活系 | 平成26年度目標 | 6 | 平成21年度実績 | 5 |
産業系 | 平成26年度目標 | 9 | 平成21年度実績 | 4 | |
その他 | 平成26年度目標 | 2 | 平成21年度実績 | 2 | |
合計 | 平成26年度目標 | 17 | 平成21年度実績 | 11 | |
窒素 |
生活系 | 平成26年度目標 | 6 | 平成21年度実績 | 4 |
産業系 | 平成26年度目標 | 14 | 平成21年度実績 | 7 | |
その他 | 平成26年度目標 | 4 | 平成21年度実績 | 4 | |
合計 | 平成26年度目標 | 24 | 平成21年度実績 | 15 | |
りん |
生活系 | 平成26年度目標 | 0.3 | 平成21年度実績 | 0.2 |
産業系 | 平成26年度目標 | 0.3 | 平成21年度実績 | 0.2 | |
その他 | 平成26年度目標 | 0.2 | 平成21年度実績 | 0.1 | |
合計 | 平成26年度目標 | 0.8 | 平成21年度実績 | 0.5 |
5 削減目標量の達成のための方途
(1) 生活系排水対策
ア 下水道の整備
イ 浄化槽等の生活排水処理施設の整備
ウ その他の生活排水対策
(2) 産業系排水対策
ア 総量規制基準の設定
イ 総量規制基準が適用されない事業場等に対する対策
(3) その他の発生源に係る対策
ア 農地からの負荷削減対策
イ 畜産排水対策
ウ 養殖漁場の改善
6 その他汚濁負荷量の総量の削減に関し必要な事項
(1) 人工海浜、干潟・藻場の造成・保全
(2) 水質改善に資する養殖等の取組の推進
(3) 河川及び海域の環境整備
ア 河川及び沿岸部の汚泥の浚渫
イ 河川の流量確保
ウ 沖合漁場の覆砂
エ その他河川、沿岸等の環境の保全に関する事業
(4) 里海づくりの推進
(5) 監視体制の整備
(6) 教育、啓発等
(7) 調査研究の推進
(8) 中小企業の助成措置等
2 化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画(福岡県)
化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量規制基準について
1 総量規制基準の概要
1 位置付け
水質汚濁防止法第4条の5に基づく「総量規制基準」は、総量削減計画で定める削減目標量を達成するための方途の一つで、事業場からの汚濁負荷量の抑制を目的として関 係各都府県知事が定めるものである。
なお、汚濁負荷量とは、事業場等から排出される水に含まれる汚濁物質の量で、汚濁負荷量をL(kg/日)とすると、
L=C×Q×(1/1000)
C:濃度(mg/日)
Q:1日あたりの特定排出水の量(立方メートル/日)
で表される。
2 対象項目
化学的酸素要求量(COD)、窒素、りん
3 総量規制基準の適用
(1) 規制対象となる事業場(指定地域内事業場)
事業場からの排出水が指定水域に流入する地域(指定地域)に立地し、日平均排水量が50立方メートル以上の特定事業場
・ 特定事業場
水質汚濁防止法施行令別表1に定める特定施設を設置する事業場
・ 指定地域
福岡県においては、北九州市(遠賀川流域を除く)、行橋市、豊前市、
京都郡、築上郡、赤村(今川流域に限る)、添田町(今川流域に限る)
(2) 総量規制基準の適用を受ける排出水(特定排出水)
事業場から排出される汚水(間接冷却水、雨水等を除く)排出水のうち、特定事業場において事業活 動その他の人の活動に使用された水であって、専ら冷却用、減圧用その他の用途に供することにより汚濁負荷量が増加しないものに供された水以外のもの。
(3) 規制の仕組み
総量規制基準遵守のため、指定地域内事業場に対して、以下のような規定が法に設けられている。
関係都府県及び法に基づく政令市において、指定地域内事業場が総量規制基準を遵守しているかどうかを立入検査等で把握し、適切な対応を的確に行うことが、本制度にとって重要である。
なお、瀬戸内海においては、特定施設の設置又は構造変更等について、原則として届出ではなく、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく許可を要する。
・ 特定施設の設置又は構造等変更の届出及び事前措置命令
・ 総量規制基準遵守義務
・ 汚水の処理方法等の改善命令
・ 汚濁負荷量の測定・記録・保存義務
・ 立入検査・報告徴
4 総量規制基準値の算出方法
総量規制基準の算出に係るC値は、国が定めた総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分毎の範囲内で、都道府県知事が設定する。
総量規制基準は、それぞれの指定項目について、次の算式により設定される。
L=C×Q×(1/1000)
L:排出が許容される汚濁負荷量(kg/日)
C:都道府県知事が業種・施設(215区分)ごとに、
COD、窒素、りんについてそれぞれ定める値(mg/L)
Q:業種・施設ごとに分けた特定排出水の量(立方メートル/日)
新たに特定施設が設置される指定地域内事業場(工場又は事業場で、特定施設の設置又は構造等の変更により新たに指定地域内事業場となるものを含む)及び新たに設置される指定地域内事業場については、次に掲げる数式により総量規制基準を定める。
○ COD
Lc (kg/日)=(Ccj・Qcj+Cci・Qci+Cco・Qco)×(1/1000)
○ 窒素
Ln (kg/日)=(Cni・Qni+Cno・Qno)×(1/1000)
○ りん
Lp (kg/日)=(Cpi・Qpi+Cpo・Qpo)×(1/1000)
Q:下表の時期区分の特定排出水の水量(立方メートル /日)
C:Qの時期区分ごとの水量に対応して、環境大臣が定める業種その他の区分
(以下「業種等の区分」という。)及び区分ごとの範囲(以下「C値の範囲」とい
う。)において都府県知事が定める値(濃度:mg/L)
時期区分別水量 |
COD |
窒素 |
りん |
S55.6.30以前の水量 |
Qco |
Qno |
Qpo |
S55.7.1~H3.6.30に増加した水量 |
Qci |
Qno |
Qpo |
H3.7.1~H14.9.30に増加した水量 |
Qcj |
Qno |
Qpo |
H14.10.1以降に増加した水量 |
Qcj |
Qni |
Qpi |
5 第7次水質総量規制基準の設定方針
「水質に係る化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」(平成23年3月環境省告示)を踏まえ、第7次総量規制基準は次のとおり設定する。
(1) Q・C値の時期区分
第6次から変更しない。
(2) 業種等の区分
第6次から変更しない。
ただし、業種等の区分の名称については、平成19年11月の日本標準産業分類の第
12回改定における名称変更を踏まえ、業種その他の区分の一部について次のとおり
名称変更を行う。
整理番号 | 5 | 第7次 | 部分肉・冷凍肉製造業又は肉加工品製造業 | 第6次 | 肉製品製造業 |
整理番号 | 204 | 第7次 | 電子回路製造業 | 第6次 | プリント回路製造業 |
整理番号 | 205 | 第7次 | 電子部品・デバイス・電子回路製造業(前項に掲げるものを除く)、電気機械器具製造業又は情報通信機械器具製造業 | 第6次 | 電気機械器具製造業(前項に掲げるものを除き、情報通信機械器具製造業、電子部品・デバイス製造業を含む。) |
(3) C値の範囲
第6次から変更しない。
2 化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量規制基準
「化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画(福岡県)」に基づき、水質汚濁防止法(以下「法」という。)第4条の5第1項及び第2項の規定により、「化学的酸素要求量に係る総量規制基準」、「窒素含有量に係る総量規制基準」、「りん含有量に係る総量規制基準」を設定し、同条第4項の規定により福岡県公報(平成24年2月20日第3365号)に登載(告示)しました。
なお、第7次総量削減における本県の総量規制基準は、第6次の総量規制基準をそのまま適用するため、既設事業場に対する当該規制基準の適用猶予は設けていません。