2024 AUTUMN
知事といきいきトーク 2024年7月19日 糸島市
産学金官民が連携して
学術研究都市づくりを
進める糸島市
知事が県民の皆さんのもとに出向き、地域で活躍されている皆さんと意見交換を行う「知事といきいきトーク」。 今回の舞台は、学術研究都市づくりが進む糸島市。 さまざまな分野からまちづくりに取り組む皆さんが集まり、糸島の未来について語り合いました。
糸島市で活躍する皆さん
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平野 友康 (ひらの ともやす)さん(①)
一般社団法人SVI推進協議会 理事
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川中 琴花 (かわなか ことか)さん(②)
九州大学共創学部 4年生
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廣川 義彦 (ひろかわ よしひこ)さん(③)
志摩東部まちづくり推進協議会 会長
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熊本 耕作 (くまもと こうさく)さん(④)
株式会社オートシステム システム部 部長
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藤田 雄飛 (ふじた ゆうひ)さん(⑤)
九州大学大学院人間環境学研究院 教授
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松﨑 治久 (まつざき はるひさ)さん(⑥)
株式会社百笑屋 代表取締役
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松﨑 瑠美 (まつざき るみ)さん(⑦)
株式会社百笑屋 取締役
- 大鶴泰輔糸島市経済振興部学研都市づくり課長(⑧)
- 馬場貢 糸島市副市長(⑨)
- 月形祐二 糸島市長(⑩)
- 服部誠太郎 県知事(⑪)
- 浦伊三夫 県議会議員(⑫)
- 嘉村薫 県議会議員(⑬)
住民がつくってい持続可能なまちづくり
平野
知事
県外から移住されてのご活躍、本当にありがたいです。変わり続けていくことができる、それが“サステナブルなまち”であると感じました。
川中
大学で学んでいる文化人類学を用いてまちづくりに貢献したいと考え、糸島市に住んでいる人に「糸島市にはどんな魅力があるか?」、「どんなまちにしたいか?」などを聞いて回りました。話を聞く中で感じたのは、皆さんが糸島の未来についてしっかりと自分の思いを持っていらっしゃるということ。まちづくりは建物を造れば終わりということではなく、自分事と捉え、自分たちの暮らしがより良くなっていくように取り組みを行っていくことが大切だと思っています。
知事
一人一人の声を聞いていくというのは、非常に根気のいる活動ですね。糸島市は太古から伊都国という歴史のあるまち。長い歴史の中で築かれてきた文化や自然を大切にしながら、そこに生活する方々の声や思いを捉えていくというのは非常に重要で、ある意味まちづくりの原点ですよね。
廣川
九州大学に隣接する馬場地区と、松隈、桜井東の3行政区が集まり、志摩東部まちづくり推進協議会を立ち上げました。ワークショップで住民の声を聴き、協議会で話し合う、これを繰り返しながら1年かけて志摩東部まちづくり構想を策定しました。
知事
糸島市の魅力は豊かな自然。地域の皆さんの声も聴きながら自然と調和したまちづくりを進めていくのは大切な取り組みだと思います。
教育や農業の分野でも活用されるDX
熊本
製造業である弊社では特にDX人材の不足が課題です。そこで、ノーコード開発ツール(※1)を活用しながら、自社でDX人材を育成する「社内大学」を昨年4月に開校しました。現場でものづくりをしていた社員が自分でアプリを作り、業務改善につなげるという風土が生まれています。
※1 プログラミングの知識やスキルがなくてもWebやアプリの開発ができるツール
知事
DXを推進し、企業に定着させるためには、現場での経験を持ち、自社の業務をよく理解した方が中心となって取り組んでいくことが非常に重要。「社内大学」を通じてDX人材を育成し、235個ものアプリが実際に業務改善に使われているのは本当にすごいことだと思います。
藤田
外国人の増加や、県特別支援学校の開校をふまえインクルーシブ(※2)なまちづくりに向けて取り組んでいます。そこで、教育学や心理学、都市計画学など、多様な領域の研究者が集まり、課題に取り組んでいます。実績の一つが、県特別支援学校におけるVR学校です。建築学と教育学の教員が協働してつくりあげました。事前に保護者や入学予定者がVRで学校の中を体験することで、安心して入学できるようになります。
※2 障がいの有無や国籍、年齢、性別にかかわらず多様性を認め合い共生すること
知事
県特別支援学校においてVR技術を使って新入生の皆さんの不安を解消していただいており、ありがとうございます。これからのまちづくりにインクルーシブという視点は必要不可欠です。引き続き、ご指導いただきたいと思いますのでよろしくお願いたします。
松﨑治久
ドローンや自動操縦システムを使うことで、誰でも簡単に作業ができるのが、これからの農業の姿だと思います。また、現在私は粉末堆肥をペレット化させて固体にして使っています。粉末だと風に流されてしまうので住宅街での散布が難しかったのですが、ペレット化して土に混ぜ込むことで臭いの問題も解決されると期待しています。
松﨑瑠美
私は麦の種まきをしていますが、自動操縦システムを使うことで、女性でも簡単にできるようになり、作業能率も上がりました。
知事
松﨑さんはドローンや自動操縦システムなどのスマート農業に取り組みながら大規模経営をされています。これは県の施策の方向性と合致するものであり、先駆的な取り組みに敬意を表します。また、肥料価格が高騰するなか、牛ふんを堆肥として有効に活用するのは良い取り組みですね。県としても耕畜連携を進めていきたいと思います。
知事
今日は皆さんのお話をお聞きする中で、糸島市は、未来に向かって可能性を秘めた都市だと感じました。変わってはいけないものを持ちつつ、未来に向けて変わるべきところは変わっていく、そんな素晴らしいまちをつくっていただければと思います。
視察先
糸島市のいきいきスポット
糸島農業高校
本年度から「糸農食育道」を開始した同校では、糸島の食の魅力発信やレシピ開発など食育の取り組みを行い、学校や農業など地域とのネットワークを構築している。
- 所在地:糸島市前原西3-2-1
- 電話:092-322-2654
SVI実証実験センター
九大伊都キャンパス周辺で新たな「科学の村」を創る「糸島サイエンス・ヴィレッジ(SVI)」の拠点。同施設では、各種実証事業に取り組んでいる。
- 所在地:糸島市志摩馬場846-2
グローカルホテル糸島
外国からの研究者や留学生らを受け入れ、地域の国際化を進める「糸島市九州大学国際村構想」の一つとして令和3年度に開業。全85室で、学会や発表会にも使えるコンベンションルーム等を備える。
- 所在地:糸島市泊844-1
- 電話:092-332-9600
「糸島サイエンス・ヴィレッジ(SVI)まちづくり構想」を策定し、九州大学のそばに新しく「まちづくりを研究・実装するまち」をつくっていきたいと考えています。企業や人材を糸島に集結させ、生成AIなどを活用し、時代にあわせて柔軟に変わり続けていくことができるまちづくりを行い、糸島から地方創生のモデルを作っていきたいと考えています。