Smile移住・定住/川崎町

嘉穂アルプスを望む新しい農場でリンゴ苗木の横に立つ渡邉さん。「ここは風通しも良く、自分の思いを込めたリンゴができると思います」
リンゴ一筋に50年。全てをかけて最後の挑戦をここから
筑豊の山あいから 次代へつなぐリンゴを
地元の福島で18歳の頃からリンゴや桃の栽培を行っていた渡邉さんの生活は、2011年の東日本大震災で一変。原発事故が原因で、リンゴを作れば作るほど赤字になることも。震災ボランティアの人の勧めもあり、「福岡でリンゴを作ってみよう」と川崎町への移住を決意しました。「福岡でなぜリンゴ?と不思議に思われる人も多いですが、平均気温はこちらが少し低いくらい。多湿なので気を配りますが、この農園でも苗木がよく育ちます」。
現在は町が運営する観光リンゴ園の栽培管理者として、リンゴ栽培に携わっている渡邉さん。2015年に移住してきた当時は、手入れがあまり行き届いていなかったリンゴ園のリンゴを、今では有名百貨店の店頭に並ぶほどの特産物に育て上げました。「リンゴ作りは生きがいです。決まった休みがなく大変ですが、理想どおりのリンゴができたときの喜びはひとしおです」。
現在は、息子さんとともに、観光リンゴ園を管理しながら、近隣のリンゴ農家への技術指導を行うなど、後継者の育成にも取り組んでいます。また、隣の嘉麻市でも、新たにリンゴ栽培を開始し、渡邉さんのさらなる挑戦は続きます。「福岡だけでなく、九州の皆さんにおいしいリンゴを食べてほしい。私の最後の挑戦は始まったばかりです」。筑豊の山あいのリンゴ畑から、渡邉さんの経験と思いが詰まったリンゴが出荷されるのは間もなくです。
【今回の先輩移住者】
川崎町観光リンゴ園栽培管理者
渡邉 正典(わたなべ まさのり)さん
福島県→川崎町(移住歴7年)
川崎町農産物直売所「De・愛」。この名称は、農産物を通して客と生産者が出会う場所にしたいという思いから
「De・愛」で販売されているリンゴ「黒千寿」。特産品のアップルバターや、アップルクーヘンも
川崎町観光リンゴ園には約400本のリンゴの木が
旧国鉄上山田線跡に造られた約2キロメートルの「雪舟ロード」。春は桜、秋は楓や紅葉を眺めながらウォーキングやサイクリングが楽しめる