ふくおか新・日常の旅②
嘉麻市馬見
「日常にある福岡の魅力を自分らしく再発見する」新コーナーの第2弾。今回は筑豊エリアから嘉麻市馬見(かましうまみ)地域の知られざるスポットをご紹介。日常に眠る風景と出会う旅ができました。
地図から始まる小さな旅
古代ロマンの思いもはせる
フルーツの里へ
何気なく眺めた地図に見つけた「九州りんご村」。ふと湧いた興味から小さな旅が始まりました。
遠賀川に沿うように向かったのは嘉麻市馬見。馬見山に向かって延びる緩やかな山道を進むと中腹に数軒の果樹園が現れました。「梨を育てるこの辺りで、りんごも植え始めたのは40年ほど前。先代は信州や東北の生産者を訪ねたり、来ていただいたりして育て方を学んだそうです」と話すのは、九州りんご村組合長で『華香園(かこうえん)』代表の森徹夫(もりてつお)さん。毎年秋に梨とりんご、どちらのフルーツ狩りも楽しめるよう、何種類もの品種を育てているそう。園内で赤く実ったりんごを見て、秋本番がいっそう楽しみに。地元の方との触れ合いが、旅を深く色付けしてくれた気がします。
そこから屏山(へいやま)の麓(ふもと)に向かって分かれる小道を行けば、キャンプ場やバンガローを併設するカフェ「sleepy cafe nico(スリーピー カフェ ニコ)」に到着。テントサウナで身を休め、せせらぎの音と降り注ぐ木漏れ日に包まれる午後。ここには山と静かに語り合う豊かな時間がありました。
周辺には弥生時代の遺跡も残る “福岡のヘソ”嘉麻市。市内を一望し、香春岳(かわらだけ)や平尾台(ひらおだい)まで見渡せる高台から遥かな古代に思いをはせると、ヒグラシの鳴き声と赤く染まる雲が秋の訪れを伝えていました。