福岡県内を走る鉄道に乗ってお出かけする旅を
ご紹介する「列車でふくおかさんぽ」。
今回は、“あまてつ”の愛称でお馴染みの
甘木鉄道の旅へご案内します。
福岡県内で最も短い路線ですが、
魅力がギュッと詰まった路線をお楽しみください。
鉄道写真家
福島啓和
(ふくしま ひろかず)さん
甘木鉄道 営業課長
川上正晴
(かわかみ まさはる)さん
甘木鉄道開業当初からのデザイン(写真)。車両側面には、甘木鉄道マスコットキャラクターの 「レビット君」も。その他、全8種の車両が導入されている
甘木駅で販売中のあまてつオリジナルグッズ
甘木駅を除き駅は全て無人化。大板井駅を境に住宅地から田園風景へと移り変わる
甘木鉄道は、1939(昭和14)年に今のJRの前身である日本国有鉄道が鹿児島本線の基山から甘木間をローカル線として開業したのが始まりです。1986(昭和61)年には、国鉄の民営化の流れとともに甘木線が廃止されましたが、沿線の自治体や地域住民の皆さんの熱い思いが実り、第三セクターが運営する鉄道として存続されました。
全長13.7キロメートルの中に11の駅があり、所要時間は片道約25分。県内のローカル線の中で最も短い路線です。一方、JR基山駅、西鉄小郡駅・甘木駅に隣接し、抜群の利便性を誇ります。営業担当の川上正晴さんによると、お客さまに「便利な路線ですね」と、言われることもあるそう。西鉄福岡(天神)駅や博多駅に向かうための乗り換えもスムーズです。
多くの人に利用してもらうための工夫も満載です。車で駅に行きやすいよう、各駅の周辺には無料駐車場が整備されています。特に甘木駅のすぐ隣には、300台収容できる駐車場があり、平日はほぼ満車とのこと。また、いつもは1両編成の車両も、通勤・通学の時間帯には2両編成で運行されています。
甘木鉄道の特徴の一つが運賃の支払い方法で、バスと同じように車内で現金を支払う昔ながらの仕組みが残っています。これは、「レールバス」と呼ばれるゆえんともなっています。
満開に咲いた秋のコスモス。沿線には四季の彩りを楽しめる名勝スポットが点在している。一度足を運んでみては?
地域住民に支えられている「あまてつ」
甘木鉄道には、8種の車両が導入されています。鉄道ファンに人気なのが、国鉄時代のカラーを使った車体(表紙写真)です。他にも、地元の高校生がデザインしたものや沿線のゆるキャラを配したものなど、ユニークな車体がそろっています。
全国の第三セクター鉄道の運営が厳しい中、短い路線ながらも堅実で順調な経営を支えているのが「甘木鉄道を育てる会」の存在です。地域の方々や鉄道愛好家が集まって運営されているこの会では、たなばた列車やコスモス列車の運行など、イベント運営はもとより、各地でのPR活動なども積極的に行っています。地域の大切な足として愛される「あまてつ」。その車窓からは、きっとまちの魅力も伝わってくるはずです。
「甘木鉄道を育てる会」の皆さんによって、秋はコスモスで飾りつけたコスモス列車も運行中
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