海山の幸に恵まれ、豊かな食文化を誇る福岡県。
このコーナーでは、福岡県の農林水産業に従事
する「人」と、旬の福岡の「食」、そして、それらを
「支える」取り組みなどを4回にわたりお伝えします。
第1回目の今回は、八女茶の生産に情熱を注ぐ
若き担い手を訪ねました。
海山の幸に恵まれ、豊かな食文化を誇る福岡県。
このコーナーでは、福岡県の農林水産業に従事
する「人」と、旬の福岡の「食」、そして、それらを
「支える」取り組みなどを4回にわたりお伝えします。
第1回目の今回は、八女茶の生産に情熱を注ぐ
若き担い手を訪ねました。
「手をかけただけ、反応があるのがお茶づくりの魅力」と語る江島啓一さん
全国有数の高級茶の産地として知られる八女で、昨春から新たに一人の青年がお茶づくりに挑んでいます。
農事組合法人八女美緑園(みりょくえん)製茶の江島啓一(えしまけいいち)さん。中学生のころから実家の茶業を継ごうと決めていた江島さんは、地元の農業高校を卒業後、静岡県の国立茶業研究センターで学び、同県のお茶農家で一年間働いた後、帰郷。現在は父親の一信(かずのぶ)さんとともに土づくりから手がけ、安全安心なお茶づくりに励んでいます。
栽培から製造、販売までを一貫して行う八女美緑園製茶は、平成8年、一信さんをはじめ5軒のお茶農家によって設立。共同で栽培や加工を行うことで、作業の効率化やコストダウンを図りました。また、商品の付加価値を高めるため、地元では数少ない※碾茶(てんちゃ)工場の建設といった取り組みも実現しました。こうした取り組みをさらに進めたい、と語る啓一さん。
「6次産業化に挑むなど、今後もアイデア次第でお茶市場はまだまだ広がる可能性を秘めていると思います」。啓一さんは現在、若手の農業者でつくる団体のメンバーとしても活動中。菊やバラなどを生産する農家とタッグを組みながら、八女茶を使ったブレンドティーやアロマ商品の開発を進めるなど、啓一さんの挑戦は続いていきます。
※碾茶…茶葉をもまずにそのまま乾燥させたもの。石臼でひき、粉状にすると抹茶になります。
蒸した生葉は、冷却用の散茶機の中で、風力で吹き上げながら、重ならないよう冷却させる
散茶機で冷却した生葉は、さらにレンガ造りの200度近い乾燥機の中で乾燥させる
抹茶の原料となる碾茶の栽培風景。一定期間、茶畑を被覆素材で覆い、日光を遮って育てることで、渋みを抑え、うま味が増す
摘み取った生茶は放置しておくと発酵が始まるため、製造工場で蒸される
乾燥した茶葉を細かくより分け、茎などを取り除いて仕上げた碾茶
出荷された碾茶は、石臼でひくことで美しい粉状の抹茶に仕上がる
若手からベテランまで一緒に作業を行いながら、技術の継承に取り組んでいる
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