福岡県内には、JRをはじめ、西鉄電車、
地域を走るローカル線など数多くの鉄道が走っています。
その多くは日常の移動手段であると同時に、
旅の足としても親しまれています。
のんびりとシートに座って景色を眺めながら目的地へ。
列車で出かけるからこそ
気軽に楽しめる旅へとご案内します。
鉄道写真家
福島啓和さん
筑豊電気鉄道 運輸担当
中津竜馬さん
最新の車両5000形は、ホームとの段差をなくし乗り降りしやすいデザインを採用。電力の効率化など環境への配慮も行われている
住宅街を過ぎてさらに南下していくと、遠賀川周辺ののどかな田園風景が広がる
筑豊電気鉄道は、北九州の副都心である黒崎から、直方市までを結ぶ全長約16キロの路線です。地域の人から、「ちくてつ」の愛称で親しまれ、多くの人が利用しています。始発駅である黒崎駅前駅から終点駅の筑豊直方駅までは、およそ36分。「最初は、住宅街のすぐそばを通る風景ですが、希望が丘高校前駅を通り過ぎるころからは、緑豊かな田園風景が広がります。その車窓の風景の移り変わりも、ちくてつの魅力です」と、教えてくれたのは、運輸担当・中津竜馬(なかつ りょうま)さん。希望が丘高校前駅からは、2015年に世界文化遺産に認定された「遠賀川水源地ポンプ室」もすぐ近くです。
1977年から走る2000形の車両。クラシックな前照灯、前面の3枚窓などが特徴で、現在は、朝夕のラッシュ時のみ走行している
主に通勤・通学の足として利用されている路線ですが、実は、全国の鉄道ファンが訪れる鉄道でもあります。その理由の一つが、路面電車型の車両が、普通鉄道を走っていることにあります。これは、北九州を走っていた西鉄北九州線の路面電車の路線に乗り入れる形で、運行を開始したことがきっかけです。
かつて福岡・北九州市内を走った西鉄の路面電車の車両が、今なお現役で頑張っている姿を見て、懐かしむ人もいるとのこと。
2015年に導入された最新の車両5000形は、お年寄りや体の不自由な人に優しい低床式車両(ホームと車両の段差がほとんどない車両)が導入されました。スタイリッシュなデザインで、利用者や沿線の住民の方から「街の雰囲気が明るくなった」と好評を得ているようです。
朝夕の混雑時には、運転士1名、アテンダント1名のツーマン体制で運行されている
日本全国の鉄道を巡って写真を撮り続けている鉄道写真家の福島啓和(ふくしま ひろかず)さんは、「最大でも3両編成でコンパクトなちくてつは、アテンダント(客室乗務員)とお客さんの距離が近くて、ローカル鉄道ならではの触れ合いが感じられます」と、その魅力を語ります。交通系ICカードも利用できますが、今でも車内でアテンダントが切符や運賃を受け取ってくれるのも、ちくてつならでは。アテンダントが、がまぐちかばんを使っている姿は、昔ながらの風景として親しまれています。
中津さんによると、「鉄道サークルの大学生の要望に応えて貸し切り電車を走らせたこともあります。より一層、市民の皆さんに親しまれるちくてつを目指しています」とのこと。鉄道そのものを楽しむ場づくりにも力を入れる「ちくてつ」をぜひご利用ください。
今でも現役として活躍しているがまぐちかばん
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