梅・桜・菊など日本古来の六花（りっか）と和菓子の“最中（もなか）”からインスピレーションを受け誕生した「monaca stool」は、家具の街・大川市で創業から67年続く椅子専門店「酒見椅子店」で開発されました。コンパクトでありながら多様な場を彩る、令和にふさわしい花の心をカタチにしたトータルデザインが高く評価され、大賞を受賞しました。

　「実際に海外の展示会を見に行った時、“日本らしさ”を生かしたものを作る必要があると感じました」と話すのは、3代目の酒見智大（さけみ ともひろ）さん。その思いから和のテイストを取り入れようと和菓子に着目。ジャパニーズモダンともいえる高い技術を生かしたスツールが誕生しました。ちりめんタッチの生地で作られた座面の絶妙な柔らかさ、九州に多く自生するセンダンなど無垢（むく）材を使った脚の美しさだけでなく、座面の形や色、脚の材質や高さをセミオーダーできるのもポイント。ホテルや飲食店など商業空間のみならず、おうち時間を豊かにする空間のアクセントとしても注目が集まっています。

場の雰囲気や心を晴れやかにしてくれるカラフルな花のデザイン。
久留米絣を使ったものもある

椅子作りは完全分業制。座面部分の生地の裁断・縫製、脚となる木材の加工・組み立てなど職人の手作業によって形成されていく。とりわけ、座面はふんわりもっちりとした仕上がりにするため、シワが出ないよう細心の注意が必要