「母の日」に贈る花として、おなじみのカーネーション。最近では、赤や白以外に、ピンク、紫、黄色、くすみがかったアンティークカラーなどさまざまな色をフラワーショップなどで見掛けるようになりました。フリルのような花びらの重なりが特徴的ですが、その品種の数はとても多く、花びらの形や花の付き方によってボリュームや印象が大きく異なります。かれんな雰囲気やゴージャス感など、贈る相手や用途に合わせ、フラワーアレンジメントやブーケなどに取り入れやすく人気があります。
県内の主要な産地であるうきは市の生産者、出利葉忠春(いでりは ただはる)さんのハウスでは、10種類ほどのカーネーションが栽培されています。6月中旬頃から苗を定植し、開花の早い品種では9月から採花が始まり、5月下旬まで長期にわたって出荷が続きます。
「比較的育てやすい花ですが、定植前に土壌の消毒を行うなど、病気を予防するための下準備が何より大切。収穫までは風通しの良い環境をつくり、温度や水の管理を徹底します」と出利葉さん。カーネーションは、出荷するまでに脇芽を摘み取る作業が必要です。さらに、スプレー咲きでは「孫芽」と呼ばれる小さなつぼみまで取り、見栄えを整えています。「1本1本からたくさんの脇芽や孫芽を手で摘み取らないといけないので、手間と根気のいる作業です」と苦労を語ります。最初に花が咲き始める頃に、その分喜びを感じるそう。「頑張って育てた花が開花する瞬間を見ると安心します」とほほ笑みます。
カーネーションは花の中でも日持ちが良く、水切りを小まめに行えば、冬場は1カ月近く飾ることができます。花びらは散りにくく、玄関やリビングなど飾る場所を選ばないので、おうち時間に彩りを添えてくれます。また、ピンクは「感謝」、紫は「気品」など、色別の花言葉は贈り物にもぴったり。日々の暮らしや花に思いを乗せた贈り物など、さまざまな場面で私たちを楽しませてくれます。
品質維持のため、温度管理や換気などに細心の注意を払っている
花の付き方は、1本の茎に花を一輪だけ咲かせるスタンダード(上)と、複数の花を咲かせるスプレー(下)の2種類
栽培歴40年以上のベテラン生産者、出利葉さん
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