小倉の活力
市民にはなじみの商店街。
外国人観光客には小倉の新名所。
トタン屋根が連なる横道には
時を経た市場の匂いが立ち込め
散策の足に弾みをつける。
旦過市場商店街
所在地 北九州市小倉北区魚町4-2-18
電話093-521-4140
数十年を経た建物は映画のロケに使われるほど昔日(せきじつ)の面影を残す。古い看板を掲げる乾物店や昔ながらの縫製業なども健在
旦過市場商店街は、小倉北区魚町4丁目にあります。町名が示すとおり、江戸時代には魚介類の荷揚場があり、大正期には青果市場が設置されるなど、一帯は神嶽川(かんたけがわ)の水運を利用した産物の集積場として発展。商人たちが集まり、所狭しと店を連ねるようになりました。ここにはその「市場」の趣が今もなお鮮明に残っています。
例えば道幅。南北約180メートルのメイン通りさえ2メートルから5メートル幅の細道で、混み合う時間帯は肩と肩が触れ合うほど。もうひとつ、市場の趣を醸す理由が、商店街約110店の6割が鮮魚や青果、精肉などを扱う店であること。「日常使いの生鮮市場としては日本有数の規模です」と旦過市場商店街理事長の黒瀬善裕(くろせ よしひろ)さんは胸を張ります。
そんな市民の台所にも変化が。それは、観光客の増加です。きっかけは商店街と北九州市立大学の学生とが共同で運営するコミュニティスペース大學堂(だいがくどう)の開設。白米が入った丼を片手に鮮魚や惣菜の店を巡り、好みの丼を創作する「大學丼」を仕掛けるなど、さまざまな試みがメディアの注目を集め、SNSでの拡散につながっています。また、若者や海外からの旅行客が市場を満喫できるよう、外国語のマップやポップ、食べ歩きの企画などを用意して受け入れ態勢を整えています。
「店ごとに得意なものがあり、市場全体の品ぞろえはピカイチ。家庭用から料亭用までそろうのが一番の強みです。そして、何より旦過の魅力は“人”」と語る黒瀬さん。新旧の小さな店舗がひしめき混在するこの旦過市場には、人と人が顔を合わせ、世間話を交わしながら買い物をする、そんな懐かしい「市場」の姿が今も健在です。
平成20年以来、学生間で引き継ぎ運営。ブランド名「自産地消」を冠(かん)したハチミツや古代米(こだいまい)の他、自家製梅ジュースや手打ちうどんを販売する。ライブや演劇も企画する商店街の中核スペース
かつて地域の嫁入り道具だったぬか床。現店主が曽祖母から受け継いだ熟成品をつぎ足しながら郷土料理のぬか炊きやぬか漬けに使う。サバやイワシに加えコンニャクや半熟卵のぬか炊きも好評
薄い食パンで巻く昭和30年代からのオリジナルかまぼこカナッペをはじめ、ケーキのように鮮やかな創作かまぼこがショーケースを飾る。原料はイトヨリダイ。その日の分だけ手作りで仕上げる
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