福岡有明のり
パリッとして口溶けの良い「福岡有明のり」。広がる香りと黒く輝く様子は、白いおにぎりと相まって食欲をそそる
“宝の海”と匠(たくみ)の技が最高のおいしさへ
全国に誇る最高級のり「福岡有明のり」の生産地は、県南部に広がる有明海。干潮と満潮の差が最大で6メートル、筑後川や矢部川をはじめ、多くの河川から豊富な栄養分が注がれる、広大な干潟を有し、“宝の海”と呼ばれています。
有明海のノリ作りは「支柱式養殖」。漁場には畑のように支柱で細かく区割りされた“小間”が作られます。支柱には種付けされたノリ網が張られ、豊かな有明海の恵みを受けてノリが育ちます。おいしさの秘訣は、大きな干満差を生かして干潮の時に海上に出るノリを風にさらす「干出(かんしゅつ)」。干出を行うことで柔らかいノリとなり、うま味成分のアミノ酸が溶け出しやすくなります。
県の水産海洋技術センター有明海研究所から送られる潮位や水温、風速などのデータを活用し、干出のタイミングを調整することがおいしさを生む大事な技術だそう。「さらにおいしいノリを作るため、他の生産者から学んだり、これまでのやり方を分析し、改善を加えるなど試行錯誤を続けています」と福岡県有明海区研究連合会 会長理事の内田明利(うちだあきとし)さんは話します。
摘み取りは11月ごろから始まり翌年の3月ごろまで。ひと冬に何度もノリを摘み取り、加工場で乾のりにします。特に初摘みの「福岡有明のり」は香り豊かで口溶けがよく、舌の上にあふれるうま味が特長。「焼きのりは食べた瞬間から味がフワッと広がります」と内田さん。旬のおいしさを、ぜひご賞味ください。