県では、6次化商品の販売促進などを目的に、平成26年から「福岡県6次化商品コンクール」を開催しています。今年度のコンクールで県知事賞を受賞した「ぶどう110(いちいちまる)」を紹介します。
「この辺りは朝夕の気温差があり、昔から果物作りが盛んです。直方がぶどうの産地ということを知ってもらえたら」。笑顔で話してくれたのは直方市の北西部、穏やかな山あいで約1・2ヘクタールの「ほっけじ岡松ぶどう園」を営む岡松秀樹(おかまつ ひでき)さん。6次化商品として開発された「ぶどう110(いちいちまる)」は、この地で父親の代から70年以上もぶどう栽培を続ける岡松さんが丁寧に育てたぶどうのみを原料に、糖度が55度になるまで煮込んだ特別なラグー(※)。砂糖や添加物、保存料を一切使わずに仕上げた逸品です。巨峰を使った「ノアール」、翠峰(すいほう)やシャインマスカットを使った「ブラン」の2種類が販売されています。
「この数年は、夏の豪雨に悩まされました。ハウスで育てたぶどうが出荷直前に水を吸うと、実の皮が割れて市場に出せなくなるんです」。出荷できないとはいえ、丹精込めて作ったぶどうを捨てるのはもったいないと、規格外品を活用した6次化商品開発にチャレンジすることに。「誰も作ったことがないものを作ろうと、直方市や地元でつくだ煮製造を得意とする井上薫(いのうえ かおる)商店と試行錯誤して生まれたのがこのラグー。1瓶に約2房分の実が詰まっています」と、岡松さんも自信たっぷり。種を手作業で取り除き、皮ごとじっくり煮込んだラグーは、果肉感があふれて甘さも抜群。チーズと共にクラッカーに乗せてオードブルにしたり、肉料理のソースやサラダなど、料理のアクセントとして使ったり、幅広く豊かな味わいを楽しめます。
深化する福岡県の6次化商品。「本物を作れば、それを使いたい人の輪が広がっていくはず。これが直方の特産品になればうれしいですね」と、全国展開へ向けて岡松さんと地域の夢がカタチになっていきます。
※ラグー…煮込み料理のこと
常温に戻したバターにスプーン2杯のラグーを混ぜ、パンに塗るのが岡松さんおすすめの食べ方
7月に収穫期を迎えるハウス栽培の立派な巨峰
「おいしいぶどうを作るために冬の丁寧な剪定(せんてい)も大切です」と岡松さん
「ぶどう110」は1瓶140g ・1296円(税込)。商品へのこだわりを110文字で紹介していることが商品名の由来
ほっけじ岡松ぶどう園
所在地 直方市下新入2620
電話0949-23-3155
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