特集
いよいよ開催が迫った東京2020オリンピック。
日本中で聖火リレーが開催され、聖火ランナーが熱い思いを胸に聖火をつなぎます。
福岡県の聖火リレーは5月12日(火曜)・13日(水曜)。
今回は、聖火ランナーに選出された2人に意気込みを伺いました。
北九州市門司区出身。元バレーボール女子日本代表選手。国内リーグでのベスト6や国際大会のベストセッター賞に幾度も選ばれ、世界を代表する名セッターとして活躍。2010年の世界選手権、2012年のロンドンオリンピックで銅メダル。2013年に現役引退後、2016年から「ヴィクトリーナ姫路」の監督に就任。北九州市スポーツ大使
「オリンピックは開催されるだけですごいのに、日本でなんて、考えただけでワクワクします。選手たちはプレッシャーもあるでしょうけど、うらやましい」と竹下佳江さん。バレーボール女子日本代表の司令塔・セッターとして活躍し、2010年の世界選手権や2012年のロンドンオリンピック銅メダル獲得の立役者です。その原点は北九州市門司区。スポーツ好きの家族に囲まれて、姉の影響でバレーボールを始めました。
「元々小さかったので背が高い選手に負けないよう一生懸命でした。私はバレーボールを通して出会った皆さんに感謝しています。一緒に全国大会に行った中学時代の先生や仲間たち、高校生で世界ユース代表に選ばれた時に出会った人たち。みんなが違う景色を見せてくれて、レベルの高いところでやりたいなと思えるようになりました」。
今回、聖火ランナーに選ばれて「必ず行くよ」と、地元の方からたくさんの連絡をいただいたそう。
「私が走ることで地元に何かを届けられるとうれしいですね。オリンピックは素晴らしいものだよ、とか。子どもたちにも“聖火がつながっていく”という記憶が残ると思うので、そこから未来につながることがたくさんあると思います」。
2016年に女子バレーボール「ヴィクトリーナ姫路」の監督に就任。2人の子育てをしながら世界を目指すチームづくりにまい進しています。
「オリンピックは平和の象徴ですが、開催されて当たり前じゃない。今のチームでバレーボールができることも当たり前じゃないんです。本当にスポーツができるって平和なことで、関わるたくさんの人に感謝しかないです」。
指導者として母として、常に出会いと学びがある、と竹下さん。スポーツができる喜びと感謝の気持ちを、聖火ランナーとしてつないでいきます。
田川市出身。幼い頃から絵を描くことが得意で、リハビリの一環として始めた絵手紙が評判に。現在は絵手紙講師として活躍
23年前、仕事中の事故で頸髄を損傷し、車いす生活を送る相浦善司夫さん。
どこへでも出掛け、町のお祭りにも参加するなど、元気な相浦さんですが、事故後しばらくは「死んだも同然だった」と言います。「当時は全身動かないし、トイレも一人でできない。人に会うのも、自分の顔を鏡で見るのも嫌でね。10年くらいは引きこもり、周りからは“死んだ”と思われていたみたいです」。転機は、お孫さんと一緒に出掛ける楽しみができてから。以来リハビリの一環で、かつての趣味だった絵を描き始めたと言います。腕に巻いたゴムにペンや色鉛筆を挟み、左手を支えにして器用に描きます。ある時、何となく新聞に投稿した絵手紙をきっかけに、絵手紙講師としての顔を持つように。今では、毎月4回から8回隣町に教えに行っています。
聖火ランナー募集を知ったのは新聞で。学生時代陸上部だったこともあり興味を抱いたものの、「車いすの私には無理」と諦めたとか。しかし、お孫さんたちの勧めで、締め切り10日前に決意。「多分最初から応募するつもりだったんだろうね。だってほら、これ」と、大切に保管された募集記事の切り抜きを見て笑います。「ランナーに選ばれた時はびっくりしたよ。何でも“やってみよう”っていう気持ちが大事だね。暖かくなったらこれを持って走る練習をしようと思う」と、見せてくれたのは、竹刀などを使って作ったお手製トーチ。
「障がいがあっても人生を楽しんでいる姿が、誰かに元気や勇気を与えられたらうれしいね」。当日はお孫さんと共に聖火をつなぎます。
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