小保・榎津地区は旧柳河藩(きゅうやながわはん)と旧久留米藩の藩境に位置し、江戸時代後期から昭和初期にかけての町並みや国指定重要文化財の旧吉原家住宅をはじめとした伝統的建造物が数多く残されています。平成21年に「藩境のまちづくりを考える会」が発足し、その後平成28年に、現在の保存会が設立されました。副理事長・事務局長の吉原万佐美(よしはら まさみ)さんが、生まれ育った藩境のまちに帰ってきたのは、仕事が一段落した60代の頃。それまで当たり前にあった町並みがなくなっていくことに危機感を覚え、保存会の会員に。「町並みはもちろん、地域の歴史・文化・伝統をつなげていきたい。点と点を結ぶように、このまちを通して交流が生まれるような取り組みをしていきたい」と語る吉原さん。保存会の活動を発信するかわら版の発行や、藩境まつりをはじめとした季節ごとのイベントの開催、町並み見守り隊の結成など、さまざまな活動を行っています。熱意あふれる保存会の活動で藩境のまちを後世に引き継ぎます。
小保・榎津それぞれの地区対抗の「藩境対決」は、藩境まつりの名物イベント
副理事長・事務局長の吉原万佐美さん
かわら版。地区内の全世帯(420世帯)に配布される
藩境まつりの「花嫁道中」。たんすと長持ちを従え、江戸情緒あふれる花嫁姿を見ることができる
旧吉原家住宅では観月会や昔の暮らし体験などさまざまなイベントも開催
藩境まつりの期間中、夜のまちを温かく照らすあんどん
筑後地方の三大祭りの一つに数えられる風浪宮大祭(ふうろうぐうたいさい)。江戸時代以前より続く由緒あるお祭りです。邪気退散の願いを込めて走る「裸ん行」では、若津(わかつ)神社から風浪宮までの約3キロメートルを、男性はさらしと締め込み、女性は全身白の衣装でたいまつを持って走ります。振興会の会長を務める山口千里(やまぐち ちさと)さんは「私自身も裸ん行祭りが好きで、若い頃からこれまで40回以上参加しています。市外や県外、そして海外からも『裸ん行』のために大川を訪れてくる人がいることがうれしい」と語ります。振興会が発足したのは約20年前。祭りの実行委員会経験者など、裸ん行祭りに思い入れのある地元の有志で構成される振興会では、祭りの時期以外にも裸ん行祭りの歴史を伝えたり、たいまつの作り方やさらしの巻き方などを教える講習会を開いたりと精力的に活動しています。「裸ん行祭りが無形文化財になるまで続けていきたい」と目標を掲げる山口さん。これからも地元の皆さんに愛される「裸ん行」に注目です。
赤い締め込み姿で走るのは厄年の男性
たいまつに火をともして走る参加者の皆さん
参加者は毎年500人前後。50年に1度の1800年祭の際は2000人近くの参加者が集まった
「裸ん行」が終わった後は、酒樽を開けて参拝を
振興会会長の山口千里さん。大うちわの文字は県立大川樟風(しょうふう)高校書道部の生徒によるもの
昭和を代表する作曲家、古賀政男をしのぶ歌唱コンクール。一般歌謡部門、民謡部門、古賀メロディー部門の3部門に分かれ、全国から出場者が集う
「出あい・ふれ愛・走りあい」をテーマに毎年2月に開催される。筑後川の河口付近や昇開橋を眺めながら平たんで走りやすいコースを楽しく走れる大会
泣く子も黙る大川産激辛とうがらし。大川で栽培されたブート・ジョロキア、黄金、モルガ・スコーピオンの3品種が使われている
大川市は「あまおう」の収穫高が筑後一の生産地。12月下旬から5月上旬には、いちご狩り体験もできる
川アンコウとは、筑後川で取れた天然なまずのこと。名前は味がアンコウに似ていることから。川アンコウのフライをはさんだ「川アンコウバーガー」も好評
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