福岡県のほぼ中央に位置する
朝倉市、筑前町、東峰村の「あさくら」地域。
九州一の大河・筑後川が潤す田園風景は何とも穏やか。
里山に広がる果樹園も季節の恵みを鮮やかに伝えます。
あの豪雨災害から1年。
新鮮野菜やフルーツの里としてだけでなく、
工芸品や歴史遺産、緑豊かな農村での体験を通して
地域の人々との交流を楽しむグリーンツーリズムなど
さまざまな魅力を探しに、あらためて「あさくら」を訪ねてみました。
豊かな水によって農地を潤す三連水車は「あさくら」を代表する風景
5月20日、待望のアユ漁が筑後川で解禁されました。昨年7月の九州北部豪雨によって大量の土砂が流入し中止されていた伝統漁法「鵜飼い」も、全国からの励ましに応えるように約1年ぶりに復活しました。福岡県内では唯一、ここでしか見ることができない巧みな鵜匠(うしょう)の技と、のどかな川面の風景を楽しめる屋形船。筑後川の清流に乗って静かに漂うその姿は、温泉とアユを楽しむ原鶴温泉ならではの優雅な夏の風物詩です。
「清流の筑後川をお見せできることが感慨深い」とあさくら観光協会会長 井上善博(いのうえ よしひろ)さん
全国の支援を得て、4月に例年より多いアユ稚魚約35万匹を放流。アユ漁解禁に鵜匠の技も冴える
北に筑紫山地、南にびょうぶのような耳納連山(みのうれんざん)。その間を縫うような大河・筑後川がつくる大きな平野。その対比があさくらの豊かな自然を表しています。かつて「筑紫次郎」と称された暴れ川を「山田堰(ぜき)」の建設で治め、堀川用水を開通させ、三連水車などで土地を潤してきた先人たちの努力と工夫が、今や全国有数の穀倉地帯として豊かな実りを育んでいます。
国内では黄金川(こがねがわ)でしか採れないスイゼンジノリは、秋月藩に守られてきたあさくらのきれいな水の象徴。また、大きな穀物倉庫を囲むように広がる農地で春は小麦、秋は稲穂が並んで揺れる様は、まさに「福岡の食」を支える美しい風景。福岡自慢のおいしいお米、うどんやラーメンなどの麺類もこの田畑があってこそ。その一画には全国に小ネギの文化を伝えた「博多万能ネギ」のビニールハウスが整列していたり、山あいにはフルーツ狩りで人気のナシやカキの畑もずらり。さらにイチゴ「あまおう」やブルーベリー、巨峰など甘くて新鮮な各種果物は地元スイーツには欠かせません。農産物直売所には、採れたての新鮮野菜や旬の果物が毎日所狭しと並べられ、観光に訪れる皆さんに喜ばれています。
あさくらの魅力を笑顔で発信する第36代「女王卑弥呼」の川波菜月(かわなみ なつき)さんと水城優季(みずき ゆき)さん
1790年、古賀百工の指揮により完成した総石畳の山田堰。現在も、あさくらの670ヘクタールを潤している
日本で唯一、黄金川のきれいな水質でしか育たない「スイゼンジノリ」。“川茸”とも呼ばれ300年以上も生産されてきた貴重な食材
復興を応援しながらあさくらの魅力を楽しむのに、今、注目されているのが自転車。昨年、初開催された自転車レース「キリンクリテリウム」(※1)に「あさくらサイクルフェスティバル」(※2)など、県内外からの自転車愛好者も多数参加。今年も開催されるイベントに熱い視線が注がれています。
あさくらは緑豊かな川沿いをのんびり走ったり、山深い東峰村の小石原焼の窯元を訪ねる陶芸ライドを実践する愛好者がいたりと、自由なアイデアで楽しめる自転車好きには魅力あふれるエリアです。自転車といえばあさくらと呼ばれたい、そんな熱を込めたチャレンジが始まっています。
(※1)
キリンビール福岡工場内で開催する日本唯一の自転車レース 「第2回キリンクリテリウム」今年は6月2日に開催されました
(※2)
「第2回あさくらサイクルフェスティバル」は9月17日に原鶴分水路グラウンドで開催予定
昨年11月に初開催された「第1回キリンクリテリウム」。日本最大の敷地面積を誇るキリンビール福岡工場内で周回レースを行うなど、大いに盛り上がりを見せた
自転車で回ると気持ちいい田園風景。夏を前に小麦の穂が黄金色に輝く
秋月の城下町。秋の紅葉は見どころの一つ
肥沃な土壌のハウスで育てられる「博多万能ネギ」。この状態から丁寧に“ネギそろえ”と呼ばれる出荷前の下準備を行って商品に
“飛びかんな”や“刷毛目(はけめ)”などが特徴の小石原焼。皿山では春と秋に民陶祭が行われ、多くの人が足を運ぶ
地域発のイベントやバスツアー案内など元気なあさくらのニュースをお知らせしているのが『あさくら観光かわら版』。観光協会や商工会、道の駅など地元の構成メンバーが自らディレクターとなって、あさくらの魅力をたっぷり発信しています。
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