カキ
さまざまな栄養素を含み“海のミルク”と呼ばれるカキ。日本で養殖されるのはマガキが多い
網口を広げた長さ約15メートルの袋状の網を漁船で引き、海底に潜(ひそ)む魚介を取る「小型機船底びき網漁」。エビ類を中心に漁をする磯田裕一さんは、「季節によって多種多様な魚が網に掛かるのが、この漁と豊前海の特徴」と言います。今年6月からは漁協直売所「四季旬海(しきしゅんかい)」(下参照)で、直接消費者に販売できるようになり「ますますやりがいを感じる」と力が入ります。
豊築漁協組合員
磯田裕一(いそだ ゆういち)さん
「取れたての魚介には自信があります」水揚げ直後のエビなどを夕方の対面販売に出し大好評
直売所に並ぶザッコ(アカエビ・写真手前)と
シラサ(シバエビ)
今年6月7日にオープンし、多くのお客でにぎわう漁協直営の「うみてらす豊前」。1階の直売所「四季旬海」には、漁から帰ってきたばかりの漁師が魚介を販売する「対面販売コーナー」や、漁船名が記された区画に魚が泳ぐいけすがあり、鮮度抜群の水産物が集まっています。1匹丸ごとの魚は、さばいてもらうこともでき(有料)、おいしい食べ方も教えてもらえます。
県内最大規模の水産の販売・加工・学習施設。建物には地元の木材をふんだんに使用している
豊築漁協直売所 四季旬海 店長
川畑美由樹(かわばた みゆき)さん
京築の自然に魅かれ3年前に福岡市から移住。「山や森が豊かなので海も豊かだと実感します」と話す
全国各地にファンを持つ、カキのブランド「豊前海一粒かき」。その養殖が始まったのは1983(昭和58)年。江口猛さんは豊前海で最初にカキ養殖に取り組んだ一人です。「味には自信があったから、仲間と共に良いものだけを出荷しようと頑張ってきました」と話します。通常、カキは出荷できるまで1年から2年かけて成長しますが、この海域は特に成長が良く、春に養殖いかだにつるした稚貝は、約8カ月で出荷できる大きさに育ちます。独自の創意工夫もあって、出荷の約1カ月前に船上で殻に付いたホヤやフジツボなどを取り除き、カゴに入れて再び海中につるすことで「大きく身入りが良くなる」と言います。出荷直前にも殻を丁寧に磨き、紫外線殺菌した海水に一晩浸し、身を浄化します。こうした江口さんたち漁師の、ブランドを揺るぎないものにしようとする技術やプライドは、次の世代にも受け継がれています。
カキの状態を確認した後、一つずつ磨き海に戻して成長を促す
紫外線殺菌した海水に浸し、高品質で安全なカキが出荷される。出荷は11月から3月ごろまで
豊前海北部漁協
恒見支所 代表理事
江口猛(えぐち たけし)さん(写真右)、
息子・英利(ひでとし)さん
7軒の漁師から始まった恒見支所のカキ養殖は現在16軒に。「後継者にも恵まれている」と江口さん
「うみてらす豊前」の2階にある人気の食堂。窓越しに穏やかな豊前海を眺めながら、旬の海の幸が味わえます。「豊前本ガニ」(11月から12月ごろ)や「豊前海一粒かき」(1月から3月ごろ)、コウイカ(4月から5月ごろ)、ハモ(8月から10月ごろ)、秋サワラ(10月から11月ごろ)など、旬の魚介類を使用した、絶品の定食や丼物などが提供されます。
旬の魚介が味わえる定食(写真上)。小エビのかき揚げ丼はボリューム満点
豊前海北部漁協恒見支所が運営するカキ小屋では、恒見産「豊前海一粒かき」が炭火焼きで楽しめます。香り高く、ジューシーで深い味わいのカキは、軍手を着けて、カキむきナイフを片手に豪快にどうぞ。他に「豊前海一粒かき」を炊き込んだ数量限定のカキ飯や、サザエ、イカなども味わうことができます。
福岡県初の養殖カキ「豊前海一粒かき」がお腹いっぱい食べられる
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